2009年10月3日土曜日

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小売り大手:ユニクロに挑戦 顧客奪還目指し取り組み強化

 衣料品の販売不振に苦しむ小売り大手各社が、カジュアル衣料で独り勝ちを続ける「ユニクロ」からの顧客奪還を目指した取り組みを強化している。イ オン、ダイエー、西友などは秋冬商戦で競合商品の価格競争を仕掛ける。百貨店のそごう・西武は、ユニクロ同様、商品企画から製造までを自社で手掛ける「製 造小売り」の手法を取り入れ、売り場に活気を吹き込む。「低価格と品質を両立した」とされるユニクロの独走を止められるのか。【窪田淳】

 ◇低価格で勝負

 イオンの秋冬物の目玉は、保温性の高い肌着「ヒートファクト」だ。荻原久示・イオンリテール常務は「肌着は元々、グループのジャスコが強かった分野。その復活を懸ける」と自信を見せる。標的は、ユニクロの大ヒット商品「ヒートテック」だ。

 ユニクロを展開するファーストリテイリングは、東レと組んで新素材開発を進めているが、イオンのパートナーは東洋紡。今年は糸の編み方を変え保温 性をさらに高めたという。9月の発売後10日間の販売枚数は、男性用が前年比2倍のペースといい、「冷え込む11月以降はさらに上向く」と期待する。

 最大の武器は価格だ。男性用半袖Tシャツは780円で、ユニクロより2割以上安い。サイズや色の種類も豊富で、中高年中心の顧客層を子どもや若者にも広げ、年1000万枚の販売を目指す。

 ダイエーが9月5日から売り始めた「880円ジーンズ」は、ユニクロの兄弟ブランド「ジーユー」の「990円ジーンズ」への対抗品。先月20日までの販売は7万本。今年3〜8月のジーンズ全体の販売本数(27万本)の4分の1を2週間強で達成した。

 西友が1日から販売を始めたジーンズは850円。親会社、米ウォルマートとの共同調達など世界最大の小売りグループのスケールメリットで、低価格を実現した。

 ◇続々ライバル

 高額品の売れ行き不振に苦しむ百貨店も、「ユニクロ研究」に余念がない。そごう・西武が先月から始めたファッションブランド「リミテッドエディ ションbyアツロウタヤマ」は、「高級感と品質」を維持しながら、製造小売りの手法を取ることで、価格は従来の類似品より4割程度安くできたという。

 売れ残った商品はアパレルメーカーに返品する百貨店の伝統的な販売方法を見直し、自己責任を高めることで売り場と商品開発担当者の「やる気」を引 き出した。西武の東戸塚店(横浜市)には2日、ユニクロのテナント店が開店しており、ユニクロと自社商品が競合する展開となる。

 ◇海外ブランドも

 9月19日、スウェーデンのカジュアル衣料大手「H&M」が、東京・渋谷に大型店をオープンさせた。国内5店舗目だが、今後、日本国内で多店舗展 開を目指す同社の旗艦店という位置付けだ。開店に並んだ20歳代の男性は「ユニクロよりも少し割高だが、外から見えるシャツやジャケットはH&Mのデザイ ンがシャレている」。ユニクロがライバル視する衣料品チェーンの世界プレーヤーも、ユニクロの金城湯池に手を伸ばし始めた。

 ◇一層の低価格で勝負 西友

 「850円ジーンズ」を発売した西友の野田亨・最高執行責任者は、発売に当たって「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングのブランド戦略を 徹底的に研究した。衣料品の商品発表に今年からファッションショーを導入し、ブランド力の強化に努めているのも、研究を生かした試みで、「スーパーの衣料 は格好悪い」というイメージの解消を図るのが目的だという。

 同社は今春、1470円でジーンズ低価格競争に参入したが、「ジーユー」の990円ジーンズには歯が立たなかった。「今のうちの強みは世界最大の小売業者の一員であること」。ユニクロを上回る低価格化で勝負する姿勢を鮮明にした。

毎日新聞 2009年10月2日 21時50分




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