2009年10月25日日曜日

asahi industry life government nogyo farm

農家3割「農協は政治と距離を」 朝日新聞・東北大調査

2009年10月25日0時1分

印刷印刷用画面を開く

ブログに利用するこのエントリをブログに利用

このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

 日本の米どころ農家の半数以上が、民主党政権下での農協(JA)と政治のかかわりについて距離をとるべきだと考えていることが、朝日新聞と東北大学が共 同で実施したアンケートで分かった。民主党が10年度から実施する方針の戸別所得補償制度への期待は高いが、生産調整(減反)の廃止や農業の大規模化につ いては意見が割れた

 アンケートは宮城、秋田、山形、新潟4県の農業者800人を対象に9月末から10月中旬にかけて行った。県ごとに一つのサンプル地点を抽出し、それぞれ農業者200人を無作為に抽出。配布した質問票を郵便で返送してもらった。回収率は57%。

 農協と政治のかかわりについて「農協は政治にまったく関与すべきではない」としたのは29%で、「自民党とも民主党とも距離をとるべき」は25% だった。農協の全国組織であるJA全中(全国農業協同組合中央会)はこれまで、政治的中立を求める民主党に強く反発してきたが、政権交代後の今月8日の全 国大会で、従来の「自民党寄り」から「全方位外交」に姿勢を転換した。

 これまで農協が関与してきた補助金の支給方式を農家の口座に「直接支払い」する方式に改めることは「望ましい」「どちらかといえば望ましい」が合わせて56%と半数を超えた。直接支払いは今後の農協のあり方にも影響を与えそうだ。

 農協改革については「農業を政争の具にするな」「本来の姿に立ち返り、事業内容を見直せ」「親方日の丸でなく農家のための農協になれ」などの意見が寄せられた。

 戸別所得補償制度について「期待する」「どちらかといえば期待する」は合わせて58%。制度の前提となる減反を受け入れても「参加したい」「どちらかといえば参加したい」は合わせて61%だった。

ただ、制度が具体的にはよく分からないとする意見について「その通りだと思う」と「どちらかといえばその通りだと思う」を合わせると90%にのぼった。制度設計がなお検討中という事情もあるが、民主党の説明不足もありそうだ。

 減反については「減反選択制を導入すべき」が36%に対し、「これまでの減反政策を維持すべき」は38%と割れた。農業法人の設立や農地の集約など農業の大規模化を促す施策についても「維持すべき」「廃止すべき」がともに31%で、「進めるべき」は8%にとどまった。

 共同調査した東北大の河村和徳准教授(政治意識論)は「農家が政治に翻弄(ほんろう)された結果、自民党にも民主党にも距離を取ろうとしている点に注目したい。政党も農協も農家の新たな意識を前提に、長期的なビジョンを示すべきだ」と分析する。(編集委員・菅沼栄一郎)

     ◇

 〈農協〉 農業協同組合法に基づいて設立され、営農指導をはじめ、肥料や農薬の共同購入、農産物の共同販売、貸し付けや生命保険のほか、スーパー経営や 冠婚葬祭、観光事業なども手がける。農水省によると、総合農協は全国で779、組合員数は約943万人(正組合員489万人)。政治団体として農政連(農 業者政治連盟)がある。




0 件のコメント: