2008年2月28日木曜日

asahi science solar system 太陽系 astronomy 天文学

太陽系に「惑星X」の可能性 神戸大など計算

2008年02月28日10時01分

 太陽系の外縁に、地球とほぼ同じ大きさの「惑星X」が存在する可能性を、日本の研究グループが数値計算で明らかにした。約1000年かけて太陽の周りを 公転しているという。太陽系の惑星は、06年に冥王星が準惑星に降格され、現在は8個だが、惑星Xが観測で見つかれば、冥王星に代わる第9惑星になる可能 性が高い。米天文学会誌「アストロノミカルジャーナル」の4月号に発表する。

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惑星Xの想像図。右側に白く輝くのは太陽=向井研究室提供

 太陽系の外縁部には、エッジワース・カイパーベルトと呼ばれる氷の小天体群でできた帯がある。この小天体群は、太陽から50天文単位(1天文単位は地球 と太陽の平均距離=約1億5000万キロ)を超えるとまばらになり、軌道が細長い楕円(だえん)形にゆがむが、その理由の説明がつかなかった。

 神戸大学惑星科学研究センターの向井正教授とパトリック・リカフィカ特別研究員は、惑星Xが帯の外側にあった小天体をはじきとばし、重 力で軌道をゆがめていると仮定。コンピューターで数値計算した結果、太陽から20天文単位ほど離れたところで生まれた惑星Xが、太陽系形成初期の約1億年 で80〜175天文単位離れた軌道上に移動したと考えると、つじつまが合ったという。

 計算では、惑星Xの大きさは直径が1万〜1万6000キロで、約1万2800キロの地球とほぼ同じ。氷状のメタン、アンモニア、水など と岩石からなり、地球の3〜7割の質量(重さ)を持つ。太陽に最も近づくと14.8〜17.3等星と冥王星なみの明るさになるとみている。


2008年2月27日水曜日

asahi shohyo 書評

「サザエさん」的コミュニティの法則 [著]鳥越皓之

[掲載]2008年02月24日

 家庭内では祖父母の経験や労働力が子育てをサポート、ご町内では隣人が世間とのつきあいかたを伝授。「サザエさん」には地域社会の機能のあれこれが詰まっている。世代間交流で文化を伝承するなどの先進例もひきながら解説。

p.s. ↑人間の「おばあさん仮説」との関連


asahi shohyo 書評

人間・この劇的なるもの [著]福田恒存

[掲載]2008年02月24日

 「宿命とは何か」という普遍的な命題から説き起こし、自己確認のために「演戯」する人間の姿を「ハムレット」論を通して考察する。劇作家でもあった著者が、劇という芸術表現に凝縮された「自由」や死生観、近代的自己論などを展開。

p.s. 研究文献として使えるかも。


asahi shohyo 書評 literature 文学 名作 傑作 名訳

世界の傑作小説を味わい深い名訳で

[掲載]2008年02月24日

 世界の傑作小説21編を集めた『諸国物語』がポプラ社から発売された。文豪が19〜20世紀前半に残した作品を味わい深い名訳で楽しめる。ツル ゲーネフ「片恋」は二葉亭四迷、ストリンドベルヒ「一人舞台」は森鴎外、ほかに山本有三、種村季弘らを訳者にそろえた。キプリング「王になろうとした男」 の金原瑞人らなどの新訳も。読みやすいよう大きな文字と総ルビにした。装画は銅版画家安井寿磨子。

p.s. 正直ほしい… …お金さえあれば。

asahi literature book shohyo 書評 論座

「日本の書評、不十分」 日英の「書評」比較 論座4月号

2008年02月27日

 「論座」4月号の特集「理想の書評」で、横浜市立大学名誉教授の小野寺健さんが、「理想的な書評に追求してほしいもの」を寄せている。英国と日本の書評の対比から、二つの社会の違いを論じている。

 小野寺さんによると、英国の「タイムズ文芸付録」の巻頭書評などは「一冊の本に匹敵するほど」の長さ。英米の書評紙、高級一般紙、週刊誌のすぐれ た書評は「対象となる一冊の本の枠に縛られない、独立した本格的エッセーを目指している」という。これに対し、日本では書評に十分なスペースが与えられて いないと指摘する。

 日本で英国のような書評が育っていない理由は、論争と、それを支える散文の伝統が希薄であるから、とみる。

 一方で小野寺さんは、英国の書評の隆盛を支えているのは閉鎖的な知的集団であり、「英国社会の差別的階層性とむすびついている」とも指摘している。

 「論座」4月号は3月1日から順次発売。

No image
論座 2008年 04月号 [雑誌]
出版社:朝日新聞社出版局
価格:¥ 780

p.s. まったく以ってその通り。

asahi science Alzheimer's Disease アルツハイマー

アルツハイマーに新タイプ 大阪市大教授ら専門誌に発表

2008年02月27日07時35分

 アルツハイマー病は、ベータアミロイドと呼ばれるたんぱく質がたまって脳に老人斑と呼ばれるシミをつくり、発病すると考えられていたが、シミを作らずに 発病するタイプがあることがわかった。大阪市立大の富山貴美准教授、森啓教授らが、米専門誌に発表した。このタイプは、これまでと異なる遺伝子配列の変異 が原因で、老人斑を標的にした診断法や治療薬の開発だけでは十分でない可能性が出てきた。

 アルツハイマー病は、ベータアミロイドがたまって線維になることで神経細胞が死に、発病すると考えられてきた。ところが最近、老人斑ができる前のベータアミロイドがいくつかくっついた段階で、神経細胞の働きをじゃますることで病気になることが、動物実験でわかってきた。

 同グループは、ある患者でベータアミロイドをつくる遺伝子に変異を見つけた。その変異があると、老人斑はまったくできないのに発病することがわかった。

 これらの結果から、アルツハイマー病の原因は、たまって線維になる前のベータアミロイドが関係している可能性が強いことがわかった。アル ツハイマー病に詳しい井原康夫・同志社大教授は「見えないものが真犯人である可能性を提示した点で、非常に興味深い結果だ」と話している。


asahi international europe Anne Frank アンネ・フランク 恋人

アンネの「恋人」の写真寄贈 かつての友人が記念館に

2008年02月27日10時25分

 「アンネの日記」を書いたアンネ・フランク(1929−45年)が「真の恋人」と呼んだ少年の写真がこのほど、かつての少年の友人によってオランダ・アムステルダムの「アンネ・フランクの家(記念館)」に寄贈された。

 1940年夏、アムステルダムに住んでいた11歳のアンネは、同じ学校に通う2歳年上のペーター・シフと出会う。ペーターの引っ越しで2人の仲は終わるが、アンネは後日、日記に「彼の笑顔に首っ丈だった。笑うとちゃめっ気があった」と思い出をつづった。

 ペーターの写真を持ち込んだのは、ベルリンで同級生だったエルンスト・ミヒャエリスさん(81)。39年夏、ナチス・ドイツの迫害を逃れて英国に疎開す るミヒャエリスさんに、オランダに向かうペーターが友情の証しとして渡した写真だ。日記を読んでアンネとの仲を知り、寄贈を決めたという。(時事)


asahi international 国際 africa アフリカ elephant 象 mabiki 間引き

南ア政府、アフリカ象を「間引き」へ 保護団体反発

2008年02月27日11時36分

 絶滅の危機にあったアフリカ象が、保護政策のためアフリカ各地で増えており、南アフリカ政府は、5月から頭数調整を目的に象を殺していくことを決めた。 南ア政府の決定はケニアやナミビア、モザンビークなど周辺国の保護政策にも影響を与える可能性があり、動物保護団体は「増えすぎとは言えない。象牙取引の 全面解禁につながるおそれもある」と訴えている。

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アフリカ東部ケニアで、象の「引っ越し作戦」に取り組むケニア野生生物公社の職員ら。麻酔銃で眠った象をクレーンでつり上げ、トラックに乗せて別の保護区に運んだ

 南ア環境省は、同国のアフリカ象が毎年5%強の割合で増加していると説明。このペースでは2020年には現在の約2倍に増えるという。象は1日に300 キロの草を食べ、200リットルもの水を飲み、15歳を過ぎると自然界に敵がいなくなるとされるため、このままでは生態系に悪影響が出ると予想している。

 保護政策による象の頭数増加に悩む国は多い。ケニアでは、象が畑を荒らしたり、住民を襲ったりする事件が続発。政府が05年から、象をより広い保護区に移動させる「引っ越し作戦」に取り組むなど対策に追われている。

 アフリカ象は、1940年代には最大500万頭いたとされるが、狩猟のしすぎで現在は最大60万頭に減り、うち約30万頭がアフリカ南部に生息している とみられている。狩猟の主目的である象牙取引は89年にワシントン条約で禁止されたが、産出国の要望で、99年から日本を対象に限定的に認められている。


asahi science Nestle coffee flavor ネスレ コーヒー ロボット

コーヒー味利きロボット開発 ネスレの研究チーム

2008年02月27日18時24分

 食品メーカー・ネスレのスイス・ローザンヌにある研究所のチームがエスプレッソコーヒーを「味わう」ことのできる機械を開発し、米化学会の専門誌に発表 した。香り成分を分析し、コーヒーのおいしさを鑑定する人間のプロに近い評価を再現できるようにした。街のコーヒー店で水準維持に使われる日が来るかも知 れない。

 コーヒーのおいしさには香りや味、見た目などが複雑に関係している。1000種類以上の揮発性有機化合物が含まれるローストコーヒーの香りの化学的特徴は、約20年も研究されてきた。

 チームは今回、11種のエスプレッソの香りに含まれる16の揮発性成分の量を質量分析機で測定。データをうまく組み合わせると、人間の鑑 定人に近い評価を出せることを実証した。この方法を別の8種のエスプレッソで検証したところ、機械による評価の有効性が確認されたという。

 日本では、コメの味の良さを推定して数値化する「食味計」や「味度メーター」が実用化されている。前者はコメに含まれるたんぱく質やアミロースの量を測定し、「味度メーター」はご飯の表層の光沢の状態を調べ、それぞれ「おいしさ」を推定して表示する。


2008年2月26日火曜日

asahi book shuppan 出版 soushisha 草思社

草思社支援に書店の輪 業界の悪循環は今もなお

2008年02月26日

 民事再生法による再建手続き中の出版社、草思社(東京都文京区)を応援する動きが書店に広がっている。同社には全国の書店から激励のファクスが届 くほか、店頭で支援フェアを展開する店もある。だが、出版業界の不振には歯止めがかからず、出版社と書店をめぐる状況は厳しさを増すばかりだ。

写真草思社の書籍約500点が並ぶ再建支援フェアのコーナー=東京・池袋のジュンク堂池袋本店で

 ジュンク堂書店の池袋本店は、いま約500点を並べた「草思社再建支援フェア」のコーナーを設けてい る。民事再生のうわさを聞いた時点で取次の在庫をかき集めた。個性的だった草思社の本にはファンも多く、田口久美子副店長は「他に代え難い書籍を必要な人 に行き渡らせるのも、大型書店の役割」と語る。

 今回のように、書店が行き詰まった出版社を応援するケースは珍しい。東北や関東、近畿の中小18店の共同仕入れを手がける「志夢ネット」(同文京 区)も加盟店がフェアを開催中だ。大手書店中心の配本が進むなか、「中小にも商品を供給してくれた草思社の恩義に報いたい」と担当者。

 ティーエス流通協同組合(東京都千代田区)も、草思社の書籍30点をセットにし、都内の加盟店約150店から注文を募った。

 工夫を凝らした書名と、広告と配本を連動させる販売手法で草思社は多くのベストセラーを生んだ。中野孝次著『清貧の思想』ほか、ミリオンセラーのF・アルベローニ著『他人をほめる人、けなす人』といった翻訳書でも知られる。

 だが、最近は大ヒットがなく、斎藤孝著『声に出して読みたい日本語』がミリオンを記録した01年度に28億円だった売り上げが、昨年度は13億 5000万円に落ち込んだ。バブル崩壊による土地売却損の影響もあったが、致命的だったのは「従来のベストセラーづくりの手法が通用しなくなった。いい本 を出しても売れない。それが正直な思い」と木谷東男社長は振り返る。

 出版業界に詳しいフリーライターの永江朗さんは、草思社不振の背景に、書店の疲弊があると指摘する。90年代半ばに約2万3000店あった書店が現在は約1万7000店。生き残るため、早めに返本して、仕入れの資金を回収する動きに拍車がかかっているという。

 「草思社のような人文社会系の一般書籍は、書評が出て、口コミで評判が広がって売れていく。書店はその間、本を蓄えるダムのような役割を持っていた。だが今は、その余裕がなくなってきている」

 一方で書籍の新刊点数は年々増え、「出版年鑑2007」によると06年は約8万点。90年に比べて倍増したが、販売額は2割増の約1兆円にとど まった。出版社は新刊を出すと取次から前払い金が入るが、返本が多いと最終的に過払いが発生し、それを埋めるためにもまた新刊を出す。

 草思社の新刊も90年代前半は50点前後だったが、昨年度は過去最多の108点にまで急増した。出版ニュース社の清田義昭代表は「その結果が書籍全体で4割近い返本率。草思社の問題から、悪循環にはまりこんでいる現状を問い直す契機にしなければならない」と話している。



関連記事


出版ニュース

草思社が民事再生法適用申請 負債総額22億5千万円

2008年01月09日

 日本語ブームを巻き起こした「声に出して読みたい日本語」などで知られる中堅出版社の草思社(東京都文京区、木谷東男社長)が9日、東京地裁に民 事再生法の適用を申請した。負債総額は22億4789万円。複数の企業が支援を表明しており、事業は継続する方針。出版市場は90年代半ばから縮小を続け ており、多くのベストセラーを生み出してきた中堅出版社の民事再生法申請は、出版不況の象徴といえそうだ。

 同社によると、長引く出版不況で売り上げが低迷し、有利子負債が経営を圧迫、支援企業の下で再建を目指すことにした。店頭で書籍は購入できるとい う。2月中をメドに再建計画を詰め、3〜4月に再スタートを切りたいという。同社の出版事業は最盛期の97年には31億9000万円の売り上げがあった が、昨年は13億6000万円に落ち込んでいた。

 草思社は68年創立。個性的なネーミングで知られ、「間違いだらけのクルマ選び」を始め、「清貧の思想」「平気でうそをつく人たち」「他人をほめる人、けなす人」などのベストセラーを生み出してきた。

 堅実な経営で知られた出版社の再生法申請に、業界の衝撃は大きい。出版ニュース社によると、06年の書籍の実売金額は96年から900億円減の1 兆円程度に落ち込み、返品率は40%程度で高止まりしている。業界関係者は「草思社はベストセラーを出す力がある出版社。出版不況もここまで来たかという 思いだ」と衝撃を受けている。






2008年2月22日金曜日

asahi science archeology titano dinosaur tanbaryu

丹波竜、首の骨「環椎」も発見 国内初 兵庫

2008年02月22日01時39分

 兵庫県丹波市で06年夏に見つかった国内最大級の植物食恐竜「丹波竜」の2次発掘調査で、頭と接する首の骨「環椎(かんつい)」が新たに見つかった。調 査している県立人と自然の博物館(同県三田市)が21日、発表した。恐竜の環椎の発見は国内初。丹波竜が属するとみられる「ティタノサウルス形類」はこれ まで40〜50種類が確認されているが、環椎が見つかっているのは数種類だけで、世界的にも貴重な発見という。

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今回見つかった環椎(かんつい)

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新たに見つかった丹波竜の首の骨「環椎」=21日午後、兵庫県丹波市で

 環椎は、十数個あるとされる首の骨「頸椎(けいつい)」の中で最も頭に近い。縦約8センチ、横約6センチ、厚さ約3センチのU字形。1次発掘調査(07 年1〜3月)で見つかった脳を収容する「脳函(のうかん)」とつながる部分で、脳函の発見場所から南に約4メートル離れた場所にあった。水で流された可能 性があるという。

 2次発掘調査で見つかっていた肋骨(ろっこつ)は、保存状態が良いものが少なくとも10本確認された。

 同博物館によると、環椎は、丹波竜の首の動く仕組みなどを考える材料になる。頸椎の中で最も小さく壊れやすいため、今回のように保存状態が良い例は珍しく、他の首の骨のまとまった発見が期待されるという。

 2次発掘調査は今月末までの予定。同博物館の三枝春生研究員は「環椎のような繊細な部分まで見つかるのは予想外。全身骨格が出る可能性がさらに高まったと言える」と話した


参考:関連記事


国内最大級「丹波竜」の肋骨、並んだ状態で発見

2008年02月07日

 兵庫県丹波市で06年夏に見つかった国内最大級の植物食恐竜「丹波竜」の化石調査をしている県立人と自然の博物館(同県三田市)は7日、複数の肋骨 (ろっこつ)が並んだ状態で見つかったほか、腰の骨も確認されたと発表した。同一個体の肋骨が並んで見つかるのは国内初という。すでに発見されている頭部 と尾の骨に加え、胴体部分がまとまって確認されたことで、世界的にも貴重な全身骨格が見つかる可能性がより強まった。

写真新たに見つかった肋骨(中心部に横に並ぶ細長い骨2本など)と、坐骨(中央上の長方形の骨)とみられる部分=兵庫県立人と自然の博物館提供
図  

 同博物館は昨年11月から、1次発掘(07年1〜3月)の場所の南東側約25平方メートルを対象に、2次発掘を進めていた。

 新たに見つかった肋骨は、ほぼ完全な形で並んだ長さ約130センチの2本と、数センチ〜数十センチの破片7個。肋骨の形状から、丹波竜は右半身を地面に 接する形で倒れたとみられる。破片は散らばっており、死後、ほかの恐竜に踏まれるなどしたと推測される。06年夏の段階で、長さ約80センチの肋骨1本が 離れた場所で見つかっていた。

 腰の骨は長さ約50センチ、幅約15センチで、坐骨(ざこつ)とみられる。ほかに椎骨(ついこつ)(背骨)の破片も確認された。坐骨と椎骨は種類によって形状が違い、丹波竜の進化の過程を探るうえで重要という。

 丹波竜は4足歩行の竜脚類とされる。当初は「ティタノサウルス類」とみられていたが、1次発掘で見つかった化石を調べた結果、尾の骨の関節部が平らで原始的な形状だったことから、より広い「ティタノサウルス形類」に属すると推測されている。

 同博物館は今月末までをめどに発掘を進め、大腿骨(だいたいこつ)などの発見をめざす。三枝春生研究員は「脚は見つかっていないが、ほぼ期待していた通りの成果だ」と話した。


asahi science nature world heritage shiretoko

「知床、温暖化に特に弱い」 国際自然保護連合が指摘

2008年02月22日16時50分

 北海道・知床が世界自然遺産に登録された際、ユネスコ世界遺産委員会から求められた課題の現状を評価するための調査が22日、終了した。記者会見した国 際自然保護連合(IUCN)のデビッド・シェパード保護地域事業部長は、地球温暖化による知床への影響について「世界的にみても特に脆弱(ぜいじゃく)で あると言える」と述べ、これに対応する新たな研究グループの設置を提案した。

 シェパード氏は知床の多様な生態系が流氷に支えられていると指摘し、「海氷の影響を受けているということは温暖化の影響が大だ。注意深く検討していく必要があり、新たなワーキンググループをつくることもありえる」と語った。

2008年2月21日木曜日

asahi history kumamoto cooking

江戸時代の熊本藩の料理再現 辛子レンコンだけじゃない

2008年02月21日08時03分

 江戸時代初めに熊本城で出されていた味が復活した。家臣が残した記録「料理方秘(りょうりかたひ)」をもとに再現した料理の試食会が20日、熊本市のホテルであった。

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古いレシピを基に再現された熊本藩の料理=20日、熊本市のホテルで

 保存のため塩を多用した時代。記録ではタイの南蛮漬けは酢10対塩3で今の10倍近い塩辛さのため、塩を半分にした。「現代人の舌に合わせるのに苦労した」と栄養士。

 熊本市は復元中の熊本城本丸御殿での料理提供を検討している。幸山政史市長は「馬刺しや辛子レンコンだけでない、熊本の食文化の深さを示したい」と語った。

2008年2月20日水曜日

asahi history archeology japan china takamatsuzuka kofun 高松塚古墳

中国に高松塚のモデル? 構図や持ち物そっくり

2008年02月20日15時53分

 中国・山西省の太原市で00年に発見された北斉時代(550〜577年)の高級武官・徐顕秀(571年没)の墓に描かれた壁画の全容が19日、九州国立 博物館(福岡県太宰府市)であった研究会で太原市文物考古研究所の李非(りひ)所長から報告された。人物像には、奈良県明日香村の高松塚古墳(7世紀末 〜8世紀初め)に描かれた男子群像と構図や持ち物など、そっくりな点が多くあり、日本の彩色古墳壁画の源流を探る手がかりとなりそうだ。

 徐顕秀墓は墓道の入り口から、ドーム状の天井を持つ墓室の奥まで全長約30メートルの地下墓。墓道と墓室に約200人の人物像が等身大で描かれていた。00年に盗掘をきっかけに発見され、02年まで同研究所が発掘調査した。

 墓室の左右の壁には出かけようとする被葬者の魂につきそう従者を描いた「出行図」があった。西壁には主人にさしかける布製の傘や折りたたみ式のいす、やりのような長い棒状のものを入れた袋包みなどを持った男性像が見られる。

 高松塚古墳では人物像は35センチほどで、徐顕秀墓の等身大に比べてずっと小さいが、西壁に折りたたみ式のいすと長い袋包み、東壁に傘を持った男性像が描かれている。X形に開くいすや、四角い傘の四隅から房飾りなどを垂らした様子は、徐顕秀墓に描かれたものとそっくり。複数の人物が基本的に同じ方へ体を向けながら、顔は様々な向きになっている構図もよく似ている。

 築造年代は高松塚古墳が100年以上新しい。北斉の出行図が後世の隋・唐に伝わり、それが日本へもたらされた可能性もありそうだ。

 同じ太原市にある北斉時代の貴族・婁叡(ろうえい)の墓の壁には、最古の十二支壁画とされるウシやトラなどが描かれている。いずれも動物そのままの姿で、動物の顔に人間の体で描かれた明日香村のキトラ古墳の十二支像とは違うが、その関係も注目される。

2008年2月14日木曜日

nikkei science kyoryu dinosaur yokuryu china

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中国の約1億2千万年前の地層から見つかった新種の翼竜の化石。全体の長さは約10センチ(米科学アカデミー紀要提供)〔共同〕

スズメ大の翼竜化石、中国で発見

 【ワシントン12日共同】スズメほどの大きさの新種の翼竜の化石を、中国遼寧省の約1億2000万年前の地層から発見したと、中国科学アカデミーとブラジルの研究チームが12日付の米科学アカデミー紀要に発表した。

 骨の状態から子どもとみられるが、成長しても翼の幅が最大25センチと推定され、これまでに見つかった翼竜では最小クラスだという。

 化石は遼寧省西部の白亜紀の地層から、左翼など一部を除く全身がほぼ完全に残った状態で見つかった。化石全体の大きさは約10センチ、頭骨は長さ4センチと極めて小さい。 (18:20)

2008年2月8日金曜日

asahi history nara asuka kofun

最大級の石室持つ古墳確認 石舞台しのぐ規模 明日香村

2008年02月07日22時05分

 奈良県明日香村にある真弓鑵子(まゆみかんす)塚古墳(6世紀中ごろ)の横穴式石室が、蘇我馬子の墓とされる石舞台古墳(同村、7世紀初め)をしのぐ国 内最大級の規模であることがわかった。同村教委が7日、発表した。石室は1〜3トンの約400個の石をドーム状に組み上げ、遺体を安置する中心部の玄室と は別に奥室を持つ国内では例のない構造だった。

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真弓鑵子塚古墳の巨大な石組み玄室。左右に入り口が見える=1日、奈良県明日香村で、超広角レンズ使用

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復元した革ベルトの上にのせられた獣面飾金具(上)。ほかに玉類(右下)、銀象嵌(ぞうがん)刀装具(中央下)、金箔片も出土した=7日、奈良県明日香村で

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真弓鑵子塚古墳の平面図

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 史跡指定を目指す村教委が昨夏から調査していた。同古墳は直径約40メートルの円墳とみられ、玄室(奥行き6.5メートル、幅4.4メートル、高さ4.7メートル)の北側は、通路状の奥室(奥行き4メートル、幅2メートル、高さ約2メートル)だったことがわかった。

 玄室の床面積(約28平方メートル)は石舞台古墳(同26平方メートル)より大きく、欽明天皇陵とされる丸山古墳(橿原市、6世紀後半)の約34平方メートルに次ぎ2番目。

 複数の死者を葬るために広く造ったとみられ、少なくとも家形石棺2基と木棺1基が置かれていたらしい。また、金銅製の馬具や獅子の顔をかたどったベルトの金具など経済力を示す遺物も出土した。大規模なドーム状石室は国内では珍しい。

 1913年と62年に考古学者らが測量しただけで、本格的な調査がなされていなかった。現地見学会は9日午前10時〜午後3時。

 ■被葬者はだれ? 東漢氏や蘇我稲目説

 真弓鑵子塚古墳は南北2カ所に入り口がある巨大古墳とされ、1913年と62年の2度、考古学者らが測量した。しかし民有地だったこともあり、詳しい発掘はないままだった。

 昨夏から村教委の調査が始まり、新たな事実が相次いで判明した。北側の入り口が実は石棺を納めるためだけの臨時出入り口とみられ、室内から石壁で入り口をふさいで、遺体を納めるための玄室とは別に「奥室」をつくったとみられる。

 玄室と奥室の両方から石棺の破片がみつかったことなどから、少なくとも石棺2基と木棺1基が安置されていたらしい。南側の入り口から新たな死者を葬る追 葬が数回あったとみられるため、調査にあたった西光慎治技師は「この地の首長が一族代々のために広い墓を造り、その権力を示したのではないか」とみる。

 被葬者の素性を知る手がかりは、石室の床から見つかった、炊飯具をかたどるミニチュア土器。「渡来人の古墳からよく見つかる土器だ。こ のころ蘇我氏に近づいて勢力を伸ばした渡来系氏族、東漢氏(やまとの・あやうじ)の墓では」と、和田萃・京都教育大名誉教授(古代史)は指摘する。

 東漢氏は朝鮮半島の先端技術を伝えた集団で、崇峻天皇(?〜592)暗殺などでも暗躍したとされる。巨石を積み上げたドーム状の石室は朝鮮半島には多く見られ、彼らの技術力の証しだろうか。

 一方、京都橘大の猪熊兼勝教授(考古学)は当時の大権力者・蘇我稲目(?〜570)を候補に挙げる。稲目が百済の姫2人を妻にしたという 日本書紀の記述をふまえて「追葬されたのはこの2人ではないか。石舞台より古くて規模も大きいし、石舞台の主という馬子(?〜626)の父、稲目の墓でも 不思議はない」。

2008年2月6日水曜日

asahi science tanago sakana

ウミタナゴ、実は3種類 京大教授ら調査・分類

2008年02月06日00時08分

 海釣りファンに親しまれ、塩焼きにして食べることが多い「ウミタナゴ」は、実際は「アカタナゴ」「ウミタナゴ」「マタナゴ」の3種類に分かれることが、 中坊徹次・京都大教授(魚類学)らの調査でわかった。日本の英文魚類学専門誌に発表した。食卓にのぼる魚について新たに分類の見直しが行われるのは珍しい という。

図

ウミタナゴの新たな分類

 ウミタナゴはシーボルトが「日本動物誌」で紹介し、1853年に正式に学名がつけられた。北海道中部以南の日本各地と朝鮮半島にすみ、体長は20センチ 前後。体は銀色のものが多いが、中坊教授は15年ほど前、徳島県内の漁港で、体色が赤みを帯びたウミタナゴが水揚げされているのを見て「ウミタナゴは1種 類ではないのではないか」との疑問を抱いた。環境生物研究所の片渕弘志・副研究員と共同で、全国各地と朝鮮半島から約300匹の標本を集め、ひれの形やう ろこの数などを詳しく調べた。

 その結果、ウミタナゴは、一つの種(アカタナゴ)と二つの亜種(マタナゴ、ウミタナゴ)に分類できることがわかった。アカタナゴとマタ ナゴは関東地方から南の太平洋沿岸、ウミタナゴは日本海側を中心に分布していた。えらぶたにある黒い斑点の数は、マタナゴは1個、ウミタナゴは2個で、一 般の人が区別する上でのポイントになるという。

asahi society tabako saitama

喫煙注意され駅員殴る 20歳の男、容疑で逮捕 埼玉

2008年02月06日11時39分

 喫煙を注意した駅員と駅助役を殴ったとして、埼玉県警狭山署は6日、同県入間市扇町屋3丁目、無職野口秀幸容疑者(20)を傷害などの容疑で現行犯逮捕した、と発表した。容疑を認めているという。

 調べでは、野口容疑者は5日午後11時10分ごろ、同市河原町の西武池袋線入間市駅上りホームで男性駅員(21)と駅助役(37)に喫煙を注意されたことに腹を立て、2人の腹などを殴ったりけったりし、駅員に3日間のけがを負わせた疑い。