2009年10月16日金曜日

yomiuri society history sightseeing blue train

ブルトレ“第二の旅路”、特別ツアーや列車ホテル

ブルートレインの特別ツアーに集まった鉄道ファンら=久保敏郎撮影
ブルートレイン車内に展示されたヘッドマーク

 「ブルートレイン」の愛称で親しまれ、3月のダイヤ改正で姿を消した九州発着の寝台特急の車両が、現役引退後も活躍している。旅行会社の企画商品 の顔として利用されたり、簡易宿泊所に生まれ変わったり……。出会いや別れなど様々な人生ドラマを運んできた青色の列車は、“第二の人生”を快走中だ。

 九州最後のブルトレは「はやぶさ」(東京―熊本)と「富士」(東京―大分)。いずれも旧国鉄時代の1960年代に登場したが、3月14日に廃止さ れた。JR九州によると、87年のJR発足時に8本運行していた九州発着のブルトレは、新幹線や高速バスなど他の交通機関の発達で乗客が減り、車両の老朽 化もあって次々にダイヤから消えた。

 「再び走らせてほしい」。3月以降、JR九州には鉄道ファンを中心に要望が相次いだ。同社は客車31両のうち9両の存続を決定し、6〜8月には門 司港―鹿児島中央間などで期間限定の特別運行を計9便実施したところ、全国から応募が殺到。当選倍率が11倍になった便もあった。

 根強い人気を背景に、旅行会社2社とJR九州は9〜11月、ブルトレ車両を使った特別ツアーを相次いで企画。9月26日、門司港―長崎間を走るツアーには約60人が参加した。2段式ベッドなど客車の中は当時のままで、列車のヘッドマークも公開された。

 横浜市港南区の会社員金重康祐さん(36)は小学生の頃からブルトレに乗って、母の実家がある長崎に行っていた。「思い出深い列車で、復活を知っ てすぐに予約した。ゆっくりと乗り心地を楽しめますね」。北九州市門司区の木村敬助さん(80)、浅江さん(76)夫妻は「6年ほど前に長男の住む横浜ま で乗って以来。次は孫と一緒に」と喜んでいた。

 特徴を生かし、「列車ホテル」としても復活する。JR九州は11月2〜4日に佐賀県唐津市で行われる「唐津くんち」に合わせて、2段ベッド式の客 車4両(定員128人)を同月2日、唐津駅内に配置。くんち期間中は宿泊施設が不足することに目をつけた。9月28日から予約を受け付けたところ、1泊 4000円の手頃感もあって2日間で満杯に。「こんなに反響があるとは思わなかった」と同社も驚く。

 町内にホテルが1軒しかない熊本県多良木町は、JR九州から「はやぶさ」の客車3両を購入し、簡易宿泊所として活用する。購入・運搬費など計約 7000万円を盛り込んだ今年度一般会計補正予算案は9月の定例町議会で可決。町は2010年度の開業を目指している。「イベント時には宿泊施設が足りず に困っていた。ブルトレホテルが話題となって、来訪者が増えてほしい」と町は願っている。(網本健二郎)

(2009年10月15日19時55分  読売新聞)




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