2009年10月16日金曜日

mainichi shasetsu 20091014

社説:羽田ハブ空港化 しがらみ解いて推進を

 羽田空港をハブ空港とする方針を前原誠司国土交通相が打ち出した。羽田を国内線だけでなく国際線についても拠点とし、東アジアの航空輸送の要にすることをめざすという。

 首都圏の空港は、羽田が国内線、成田が国際線という役割分担が前提となってきた。成田闘争などを経て、地元の千葉県などに配慮する形で、この区分が続けられてきた。羽田で国際線を運航するにしてもチャーター便に限定してきた。

 羽田は来年10月に4本目の滑走路の運用が始まる。発着枠が増えることから、近距離の国際線定期便に加え、成田で発着ができない夜間について、北米や欧州と結ぶ路線の運航を羽田でも行うことにしている。

 しかし、これは例外措置であり、成田が国際線の拠点空港であるという前提は変わっていなかった。前原国交相の唱える羽田のハブ空港化は、この前提の撤廃につながる。

 利便性に勝る羽田のハブ空港化は、利用者の立場からは大歓迎だろう。北米路線のアジアの分岐点として羽田が機能するようになれば、日本の航空会社の競争力強化につながるし、東アジアの地域間競争でも日本に有利に働くはずだ。

 政権交代によって、政策の大胆な転換が可能となろうとしている。過去のいきさつに縛られてきた羽田と成田の役割分担についても見直すいい機会で、羽田のハブ空港化を推進してもらいたい。

 しかし、羽田のハブ空港化はそう簡単ではない。4本目の滑走路が完成すると、年間の発着回数は30万回から41万回に増える。3万回としていた国 際線に割り当てる発着枠を積み増すことになるのだろうが、首都圏の今後の航空需要を満たすには、現在進められている羽田と成田の拡張でも不十分とみられて いる。成田が不要となるわけではないのだ。

 羽田を本格的なハブ空港とするには、さらなる発着枠の拡大が必要となる。離陸時に海側に旋回している航路を、海側と陸側の双方に旋回できるよう改めれば、発着枠をかなり増やすことができるという。

 ただし、これには地元の了解が必要だろうし、駐機場の確保という問題もある。滑走路のさらなる増設が課題となるかもしれない。

 羽田のハブ空港化を優先することに、関西国際空港を抱える大阪府などから反発が出ている。

 関西におけるハブ空港の役割は、かつては大阪空港が果たしていた。しかし、関空、大阪、神戸の3空港体制になり、崩れてしまった。

 関空の問題は、関西における空港のあり方の問題と直結している。関西自身が解決策を示すべき問題であることを忘れてはならない。

毎日新聞 2009年10月14日 0時17分




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