2009年10月21日水曜日

asahi shohyo 書評

快楽亭ブラックの毒落語 [著]平岡正明

[掲載]2009年10月18日

  今年7月、68歳で亡くなった著者が、入院前に編集者に託した最後の本。もっとも、本人は退院するつもりだったろうけど。落語の毒を抽出し、パロディーで 濃縮したような当代快楽亭ブラックの高座を楽譜に、即興演奏を次から次へと繰り出す平岡節は、もう新しく聴けないのか。「差別されている者は差別するの だ」「義理と人情を秤(はかり)にかけりゃ、秤が壊れる男の世界」……どこを切ってもアナーキー。「ブラックの『怪獣忠臣蔵』」では、「バルタン星人」が 来日した仏歌手シルビー・バルタンから命名されたのは「嘘(うそ)じゃない」と書く。本当かい。読んでは笑い、合掌。

表紙画像

快楽亭ブラックの毒落語

著者:平岡 正明

出版社:彩流社   価格:¥ 1,890

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