2009年10月17日土曜日

yomiuri science zoology chimpanzee help others

チンパンジー、見返りなくても要求あれば手助け

相手の要求に応じてステッキを渡すチンパンジー=京大霊長類研究所提供

 チンパンジーも相手の気持ちが理解できる? チンパンジーが、見返りがなくても仲間が要求すれば手助けをすることを、田中正之・京都大野生動物研究センター准教授と山本真也・東京大研究員らが初めて明らかにした。

 人間が、互いに助け合う現在の社会を作り上げる過程の解明につながりそうだ。米科学誌プロスワン(電子版)に発表する。

 山本研究員らはチンパンジーにステッキを使ってジュースの入った容器を引き寄せたり、ストローを使ってジュースを飲んだりする訓練を、京大霊長類 研究所で実施。2頭のチンパンジーを透明なアクリル板で仕切った隣同士の部屋に入れ、片方がステッキ、他方がストローを使えばジュースを飲める状態にし て、それぞれに逆の道具を与えた。

 母子、大人の雌同士の計6ペアについてそれぞれ、1週間で24回実験した結果、全体の59%で四角い穴から道具の受け渡しがあり、そのうち、相手 の要求で渡したケースが75%でみられた。自発的に渡したり、奪ったりしたのは少なかった。片方だけに道具を与えた場合でも、相手が要求すれば道具を渡す ことが多かった。山本研究員は「人が自発的に他人を助ける行動は、人の祖先がチンパンジーと分かれて進化する過程で獲得したのだろう」と話している。

(2009年10月14日13時36分  読売新聞)



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