2008年10月31日金曜日

asahi environment nature Ramsar Treaty

ラムサール条約、新たに国内4湿地を登録

2008年10月30日22時15分

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写真ラムサール条約に登録された化女沼。朝もやに包まれた沼から、マガンなどが一斉に飛び立った=30日朝、宮城県大崎市、戸村登撮影

写真ラムサール条約の登録湿地となる沖縄・久米島の渓流

写真琵琶湖に追加登録された西の湖=06年9月、滋賀県安土町、中村憲一撮影

 韓国で開かれている国際的に重要な湿地の保全に関するラムサール条約の第10回締約国会議で30日、国内からは3年ぶりに4カ所が条約に新規登録された。地元自治体の首長らに条約事務局から認定証が手渡された。国内の登録湿地は計37カ所になった。

 新たに登録されたのは、化女沼(けじょぬま)(宮城県大崎市)▽大山上池(おおやまかみいけ)・下池(しもいけ)(山形県鶴岡市)▽瓢湖(ひょうこ) (新潟県阿賀野市)▽久米島(くめじま)の渓流・湿地(沖縄県久米島町)。すでに登録されている琵琶湖(滋賀県)も今回、登録区域が拡張された。それぞれ の湿地は、渡り鳥や希少な野生生物の生息地になっている。



asahi biology archeology Fukui Katsuyama Tetori Iguanodon

子どもイグアノドンの化石発見 福井・勝山、歯骨など

2008年10月31日13時22分

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写真イグアノドン類とみられる上顎骨(上)と歯骨(下)の化石。上顎骨は頭部が右向き、歯骨は左向きの状態=福井県勝山市

図拡大フクイサウルスの復元模型と発見された骨の位置の図

 福井県勝山市の白亜紀前期(約1億2千万年前)の地層から、イグアノドン類に属する二足歩行の恐竜(鳥脚類)の歯骨(しこつ)(下あごの骨)と上顎骨 (じょうがくこつ)の化石が見つかった。同県立恐竜博物館が30日、発表した。いずれも成体になる前の子どもの化石で、歯骨は幼体とみられる。同博物館に よると、イグアノドン類の幼体化石の発見は国内で初めてで、世界的にも珍しいという。

 歯骨は長さ7.7センチ、幅1.2センチ、高さ3.2センチで、歯が1本付いていた。歯骨全体の形や、歯の表面に細かい筋が複数入っている特徴 が、同じ地層で見つかっているイグアノドン類のフクイサウルスと似ており、同類の化石と判断した。過去に出土した同じ部位の骨に比べてかなり小さいため、 幼体の可能性が高いという。

 上顎骨は長さ約17センチ、高さ約5センチで、歯が13本付いていた。今回見つかった歯骨と比べてやや大きく、別の個体の子どものものとみられる。

 同博物館の東洋一副館長は「イグアノドン類の成長過程を知る上で貴重な資料」と話している。

 同博物館が7〜9月、北陸一帯に広がる「手取(てとり)層群」上部に位置する「北谷層」(同市北谷町杉山)で発掘調査し発見した。(西山明宏)



asahi society Nobel Prize Sakuma blog publishing

「ノーベル賞候補」戸塚さん死去前のブログ、本に

2008年10月30日17時43分

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 ノーベル賞に最も近い日本人物理学者といわれながら今年7月、直腸がんのため、66歳で亡くなった戸塚洋二・東京大特別栄誉教授が闘病中につづったブロ グ記事が本になった。テーマは「科学の面白さ」。戸塚さんの死後、妻の裕子さん(64)が自宅のパソコンから見つけた未発表のブログ用原稿3本も収録し た。

 戸塚さんは02年にノーベル物理学賞を受けた小柴昌俊・東京大特別栄誉教授(82)のまな弟子。岐阜県・神岡鉱山の地下千メートルにある巨大観測装置「スーパーカミオカンデ」を使って、ナゾの素粒子ニュートリノに質量があることを見つけ、98年に発表した。

 その2年後の00年にがんが見つかって手術を受け、抗がん剤治療を続けた。06年に高エネルギー加速器研究機構長をやめ、親類や知人に近況報告するため、07年8月にブログを開設した。

 「勉強することがたくさんあって楽しい。それにしても時間がほしいよ」と話しながら、体調の良いときに書きためた約240本の記事をブログに発表した。

 このうち相対性理論から身近な植物の話題まで、科学がテーマの28本を収録した。亡くなる約2週間前の自宅での最後のインタビューも載っている。 出版をもちかけたフリー編集者の緑慎也さん(32)は「長生きをして、若者向けの科学の解説をもっと書き続けてほしかった」と話す。

 本は「戸塚教授の『科学入門』」(講談社刊、四六判239ページ、税別1400円)。30日刊行で、同日夕にはまず東京都内の大型書店などに並ぶ 予定だ。裕子さんは「本人も生前、ブログを何らかの形で活字にしたいと言っていた。宿題を果たせて、いまはほっとしています」と話した。(山本智之)



asahi society industry chijo digital chideji NHK

地デジ見られない地域解消へ NHKが161億円支援策

2008年10月30日19時14分

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 NHKは30日、地上デジタル放送(地デジ)の難視聴地域を解消するための支援策を発表した。山間部で電波が届かず、自主的に共同アンテナを設置している住民組織への経費助成などに約161億円を支出する。地デジへの完全移行は11年7月24日の予定。

 住民が自主的に共同アンテナを設置している組織のうち、約8千施設(40万世帯)を対象に施設整備費や維持費を助成する。新たにケーブルテレビ経由で地 デジを視聴する場合、NHKが設置したアンテナが不要となるケースも想定される。この際にはケーブルテレビの加入金なども助成する。いずれも総務相の認可 を得た後に助成の受け付けを始める。

 NHKは放送法で、あまねく全国で放送が受信できるように措置することが義務づけられている。このため、10月に公表した中期経営計画 (09〜11年度)では3年で約660億円の地デジ支援策を盛り込んだ。今回発表されたのはその一部。今後は混信や難視聴対策を順次実施する。



asahi international United Nation UN kokuren shikei death penalty ianfu

「死刑廃止、日本は検討を」 国連規約人権委が勧告

2008年10月31日11時18分

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 【パリ=飯竹恒一】国連規約人権委員会は30日、日本の人権状況に関して問題の改善勧告を含む「最終見解」を公表した。日本政府に対し、死刑制度につい ては「(国内の)世論調査に関係なく死刑制度の廃止を検討すべきだ」と勧告。扱いが注目されていた従軍慰安婦問題では「法的責任を認め、謝罪するべきだ」 として、「決着済み」とする日本政府の主張を退けた。

 対日審査・最終見解は98年の前回以来10年ぶり。

 最終見解は、死刑制度について日本政府が存続の根拠として「世論の支持」を主張し続けていることに対し「政府は国民に廃止が望ましいことを知らせ るべきだ」と指摘した。死刑制度に関しては前回の最終見解でも廃止に向けた勧告が出たが、国際的な死刑廃止機運の高まりを受けて表現は厳しさを増した。

 慰安婦問題は、前回は最終見解に盛り込まれなかったが、今回は言及。「生存している慰安婦に十分な補償をするための法的、行政的なすみやかな措 置」を求めた。昨年、米国下院で日本政府に公式謝罪を求める決議が採択されるなど、国際的な批判の高まりを背景にした指摘とみられる。

 最終見解は、代用監獄制度に対しても廃止を勧告した。

 死刑制度や慰安婦問題に関して日本政府は、審査段階の質疑で国内状況を説明して理解を求めたが、委員らには従来の立場の繰り返しで説得力に欠けたとみられる。

 同委員会は全加盟国の「市民的、政治的権利に関する国際規約(人権B規約)」の実施状況を一定期間ごとに審査する。対日審査は5回目。勧告に法的拘束力はない。



asahi okuyami おくやみ

仏演出家のニコラ・バタイユさん死去

2008年10月30日19時41分

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写真ニコラ・バタイユ氏

 ニコラ・バタイユさん(仏演出家)が28日、パリでがんのため死去、82歳。

 イヨネスコの「はげの女歌手」などの演出で知られ、パリのユシェット座では57年から現在まで上演されている。ルイ・マル監督の「死刑台のエレベー ター」など映画にも出演した。日本でも「15の未来派の作品」などを演出し、69年、紀伊国屋演劇賞個人賞を受賞。NHKテレビのフランス語講座を担当し た。



2008年10月30日木曜日

asahi shohyo 書評

幸せな子—アウシュビッツを一人で生き抜いた少年 [著]トーマス・バーゲンソール

[掲載]2008年10月26日

■子供が真っ先に殺された二つのゲットー、アウシュビッツ、死の行進——。最後まで諦(あきら)めないことを教えてくれた両親の愛と、数々の幸運が少年を救った

  子供が真っ先に「選抜」され殺された強制収容所で、アウシュビッツ死の行進で、10歳の少年がたった一人で生き延びた。最後まで諦めないことを教えてくれ た両親の愛情といくつかの幸運。ホロコーストの場で問われる人間の勇気や倫理感。恨みや憎しみの感情を克服して、人権法の権威となった著者が、子供の目で つづった感動の実話です。

    ◇

 池田礼子・渋谷節子訳

朝日新聞出版

表紙画像

幸せな子 アウシュビッツを一人で生き抜いた少年

著者:トーマス・バーゲンソール

出版社:朝日新聞出版   価格:¥ 1,890

asahi shohyo 書評

岩波新書創刊70年アンケート 『日本の思想』1位に

2008年10月30日

写真宮崎駿さんが描いた「図書」臨時増刊号の表紙

  11月に創刊70年を迎える岩波新書が、作家や学者、ジャーナリストなどに「私のすすめる岩波新書」のアンケートを実施したところ、218人から回答があ り、1位に丸山真男著『日本の思想』(61年)が選ばれた。11月に出る岩波書店のPR誌「図書」の臨時増刊号に、218人全員の推薦本とコメントを掲載 し、協力書店で中旬から無料配布する。表紙の絵は、回答者の1人でもある映画監督の宮崎駿さんが描いた。

 岩波新書は1938(昭和13)年11月20日付で20点が発刊され、歴史が始まった。新書第1号と位置づけられたのはD・クリスティーの『奉天三十年』だった。刊行点数は2600点を超え、総売り上げ部数も2億冊を超える。

 70年の節目に編集部は各界著名人のアンケートを企画。1人につき3冊まで挙げてもらったが、かなり票は割れた。

 上位には岩波新書を代表する作品が並んだ。小田野耕明編集長は「戦後日本とともに歩んできた書目が並んだ。いま読んでも新鮮な発見に満ちているはず。ロングセラーとして読まれ続けてきたゆえんでしょう」と話す。

 1位の『日本の思想』を選んだ1人である東大教授の姜尚中さんは「思想と思想が原理的に対立し、それを通じて自らの位置を確定 していけるような座標軸が不在であるということ、これこそ戦前、戦後を貫く日本の思想の『宿痾(しゅくあ)』だとわかったとき、学生の私はそれまでの浪漫 派的な心情主義と決別し、現実に向き合おうと決心したのだった」と理由を述べている。

 2位の斎藤茂吉著『万葉秀歌』は評論家の加藤周一さんや詩人の大岡信さん、作家の嵐山光三郎さんらが挙げた。加藤さんは「日本語詩歌の源泉」と評価した。同じく2位だった鶴見良行著『バナナと日本人』は、ルポライターの鎌田慧さんらが推薦した。

 アンケートの回答を掲載した「図書」臨時増刊号は、岩波新書フェアを実施する書店に、部数限定で置かれる。表紙の宮崎駿さんの絵は、風をとらえて大空へ飛び立とうとする飛行機が描かれており、編集部は創刊70年にふさわしいと喜んでいる。(西秀治)

    ◇

「私のすすめる岩波新書」ランキング

(各順位の末尾は投票人数)

1位『日本の思想』丸山真男・61年刊(14人)

2位『万葉秀歌(上・下)』斎藤茂吉・38年刊(9人)

  『バナナと日本人』鶴見良行・82年刊(〃)

4位『歴史とは何か』E・H・カー、清水幾太郎訳・62年刊(8人)

5位『市民科学者として生きる』高木仁三郎・99年刊(7人)

6位『生命とは何か』E・シュレーディンガー、岡小天・鎮目恭夫訳・51年刊(6人)

  『私は赤ちゃん』松田道雄・60年刊(〃)

  『ヒロシマ・ノート』大江健三郎・65年刊(〃)

9位『零の発見』吉田洋一・39年刊(5人)

  『新唐詩選』吉川幸次郎、三好達治・52年刊(〃)

  『羊の歌』加藤周一・68年刊(〃)

  『沖縄ノート』大江健三郎・70年刊(〃)

  『自動車の社会的費用』宇沢弘文・74年刊(〃)



asahi culture literature history Genji Monogatari Umegae Katsu Kaishu

勝海舟が愛読?源氏物語「梅枝」の最古級写本

2008年10月29日23時54分

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写真勝安芳(勝海舟)の印が押された源氏物語の写本。鎌倉時代中期のものとみられる=29日午後、神戸市東灘区の甲南女子大、西畑志朗撮影

発表された鎌倉時代中期のものとみられる源氏物語の写本。現存のものにはみられない「いたうなすかし給そ」という記述がある=29日午後、神戸市東灘区の甲南女子大、西畑志朗撮影

 甲南女子大(神戸市東灘区)は29日、源氏物語54帖(じょう)(冊)の一つで学内の書庫にあった「梅枝(うめがえ)」の写本が、鎌倉時代中期(13世 紀)のものと判明したと発表した。現存する「梅枝」では東京国立博物館所蔵のものと並び最古級という。幕末・明治期に活躍した勝海舟の蔵書だったことを示 す押印があり、同大学の米田明美教授(日本文学)は「軍事専門家だった海舟が恋愛物語を読んでいたと考えると興味深い」と話す。

 写本は同大学が73年に京都の古書店で購入。縦横約15センチで、表紙の他に37枚の紙がつづられ、このうち33枚に筆で物語が書かれている。田 中登・関西大教授(日本文学)が書体や紙質、装丁法から製作時期を鑑定した。藤原定家らがまとめた写本とは異なる系統の「別本」という。

 表紙の次にとじられた白紙(遊び紙)の裏には、海舟が明治維新後に使った「勝安芳(やすよし)」の名の押印があった。国立国会図書館が所有する海舟の蔵書約340点の一部と目視で比較したところ、同じ印影だったという。

 11月4〜7日、10日の正午〜午後4時10分、甲南女子大の図書館(078・413・3097)で一般公開される。(渡辺芳枝、佐藤卓史)

     ◇

 〈源氏物語〉 紫式部が創作した平安貴族の恋愛物語。紫式部日記の内容から、1008年11月までに書かれたとされる。原本は残っておらず、これ までに見つかった写本では鎌倉初期の4冊が最も古い。鎌倉時代前期に藤原定家がまとめた「青表紙本」、同時期に源光行らがまとめた「河内本」の2系統と、 それ以外の様々な「別本」に分類される。