2009年2月28日土曜日

asahi society handicapped person kaiko fire

障害者の解雇、1月は4割増370人に 厚労省調べ

2009年2月28日15時0分

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 1月に勤務先から解雇された障害者は370人で、前月から4割増えたことが28日、厚生労働省のまとめで分かった。08年度の累計も1781人となり、年度途中にもかかわらず07年度の1523人を上回った。

 雇用情勢の悪化を受け、同省は昨年10月から月ごとの集計を始めた。10月は125人だったが、11月は234人、12月は265人に増加した。08年度の解雇者数は、すでに過去5年間で最悪となっている。

 同省は2月、障害者を初めて雇い入れた中小企業に対する奨励金の助成制度などを創設した。年度末に向けてさらに解雇が増える可能性があるため、これらの制度も活用しながら、企業に雇用の維持や確保を働きかけていく方針だ。



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「財政か景観か」 ベネチア、自販機設置めぐり論争

2009年2月28日17時57分

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 【ローマ=南島信也】水の都ベネチアで、清涼飲料水の自動販売機設置をめぐり、「財政か景観か」で熱い論争が起きている。財政難にあえぐ市当局がコカ・ コーラの自販機設置を認めたのがきっかけ。「巨大企業が自販機でベネチア侵略の準備をしている」(23日付ラスタンパ紙)など、反発が広がっている。

 世界遺産にも指定されているイタリア北部のベネチアは、地盤沈下や地球温暖化などの影響でしばしば浸水する。水没を防ぐために、アドリア海とつな がる水路に可動式の水門を建設する「モーゼ計画」が進められている。だが40億ユーロ(約4800億円)前後にのぼるとみられる総工費の一部を負担する市 の財政を圧迫。市は自販機を設置するコカ・コーラ・イタリア社から5年間で210万ユーロ(約2億5千万円)を得る契約を今週中にも交わすことにした。

 これに対し、地元飲食店や市民は「景観を損なう」と猛反対。一方、市側は23日、自販機60台を水上バス乗り場など限られた場所だけに設置する方針を明らかにし、「サンマルコ広場のような公の場所には設置しない。どこが侵略なのか」と反論した。

 イタリアではサンマルコ広場やローマのスペイン階段といった名所旧跡での飲食が禁止されているなど、歴史的建造物を守るための規制が厳しい。また コーヒーや清涼飲料水、軽食を提供する飲食店「バール」が16万軒近くあり、飲料水の自販機はほとんど目にしない。このほかハンバーガーやコーヒーの チェーン店への拒否感は根強く、欧米のファストフード文化にとっては防波堤が高い。



2009年2月26日木曜日

asahi shohyo 書評

人間の覚悟 [著]五木寛之

[掲載]2009年2月22日

  • [評者]小柳学(編集者)

  「地獄は一定(いちじょう)すみかぞかし」。800年前に生きた親鸞のことばを引いて、われわれも覚悟を決めるべきだという。国も銀行も頼りにできない。 祖父が孫を殺し、息子が父親を殺すといったニュースが毎日のように流れ、今日もどこかで100人近くの人が自殺している。「地獄の入り口の門が、ギギギ、 と音を立てて開き始めているような気配がある」と著者はいう。

 覚悟とは「明らかに究める」、つまり「あきらめる」こと、という。自らの鬱(うつ)体験を語り、登山ではなく下山の哲学を説 く。ボランティアなら「感謝のことば」をもらえなくても、ありがとう、と心の中でつぶやく。いや、「石もて追われる」覚悟ですべきだと。いま必要なのは、 いかに生きるかを問うことではなく、これまでの自分をいったん捨て去ってでも生き続けること、その「覚悟」であると。

 去年の夏に企画し、11月に刊行した。「その間に、秋葉原の事件があり、金融危機が起き、首相が政権をほうり投げた。本のタイトルが必要な世の中になってきました」と担当編集の阿部正孝さん。

 出せばベストセラーの感ありの"五木本"。もともと多くの固定ファンがいるが、今回の読者層は、これまでとやや様相がことなる。従来、女性が6割だったが、今回はその比率が逆転、男性が6割を占める。

 世代もことなる。これまでの"五木本"の活字がたいてい大きいのは、固定ファンの多い高齢の読者層への配慮とも思われるが、この本は、30〜40代の「現役世代が中心」と営業部の寮勇治さんは語る。

 地獄のはじまり、破綻(はたん)の予感を強く感じているのは、いま働いている人たちということか。

    ◇

 7刷28万部

表紙画像

人間の覚悟 (新潮新書)

著者:五木 寛之

出版社:新潮社   価格:¥ 714

asahi shohyo 書評

モデル失格—幸せになるためのアティチュード 押切もえさん

[掲載]2009年2月22日

  • [文]竹端直樹 [写真]高山顕治

写真押切もえさん(29)

■悩み、揺れたから努力した

 当代一の人気モデルが本を書いた。初の書き下ろし、しかも新書だ。

 押切(おしきり)もえと新書。ミスマッチかと思いきや、ご本人は話が舞い込んだ時から前向きだったという。

 「実は新書が大好きなんです。移動の新幹線や飛行機に乗る前にさっと買えて、旅先で読んでいるうちにモチベーションが上がるので」

 坂東眞理子の『女性の品格』。岡野雅行の『人生は勉強より「世渡り力」だ!』。和田アキ子の『おとなの叱(しか)り方』。気に入った本の書名と著者名がポンポン出てくる。雑誌「AneCan」の看板モデルは、新書ブームを支える読者の一人なのだ。

 中学校の教科書で「走れメロス」を読んで以来、太宰治の大ファン。それを知った編集側が用意してくれた書名が「モデル失格」だ。このタイトルに向き合うことで、自分の気持ちをより深く掘り下げられた。

 「世間にはモデルはキレイで当たり前というイメージがある。でも私は容姿に恵まれていない。仕事も決して順調ではなかった……」。パソコンに向かうと思いがあふれ出した。

 ティーン誌の読者モデルとして活躍したものの、その後はオーディションに落ちまくる。仕事がなかった10代はケーキ工場で日雇 いのアルバイトをした。「CanCam」のレギュラーになった後はコンプレックスに悩まされる。モデルとしては低すぎる身長。「ファニーフェイス」な顔。 遅咲きゆえの年齢の高さ。

 「私はモデル失格」と悩み、揺れ、だからこそ続けてきた努力。「ありのままを書きながら、気がついたら泣いていた」と笑う。

 本当の自分を書き終えたいま、精神的に楽になった。「職業柄名刺を持ってないんです。でも、30歳を前に大事な"名刺"をつくらせていただいた気がする。感謝しています」

表紙画像

女性の品格 (PHP新書)

著者:坂東 眞理子

出版社:PHP研究所   価格:¥ 756

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おとなの叱り方 (PHP新書)

著者:和田 アキ子

出版社:PHP研究所   価格:¥ 735

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走れメロス (角川文庫)

著者:太宰 治

出版社:角川書店   価格:¥ 380

asahi shohyo 書評

死を生きる。 [著]帯津良一

[掲載]2009年2月22日

■著者は、人間を身体と心でまるごととらえるホリスティック医学の第一人者。多くの患者を看取(みと)った経験から死への旅立ち方を説く

  西洋医学に漢方や気功を取り入れ、人間を、臓器だけではなく心を含めた全体としてとらえるべきだという「ホリスティック医学」の第一人者である帯津良一氏 の死生観を集大成。多くのがん患者や身内の死を看取ってきた経験から、人間のエネルギーを死に際して最高の状態にもっていき、死に向かってどう旅立つかを 説く。

朝日新聞出版

表紙画像

死を生きる。

著者:帯津 良一

出版社:朝日新聞出版   価格:¥ 1,890

2009年2月25日水曜日

asahi shohyo 書評

進化から見た病気 [著]栃内新

[掲載]2009年2月22日

 ヒトと病原生物、双方の視点から病気を理解しようとする「ダーウィン医学」。生活習慣病やうつなども、もともと人類が経験した厳しい環境下で身体を守るための防御反応だったとみる。ヒトの進化の過程で病気がもつ意味に着目して、感染症や先端医療などを読み解く。

asahi shohyo 書評

ジャーナリズムの可能性 [著]原寿雄

[掲載]2009年2月22日

  ベテランジャーナリストが、インターネット社会におけるジャーナリズムの役割を問い直す。権力を監視するための自律性や倫理の確立の重要性のほか、世論形 成にかかわる市民のメディアリテラシーの重要性などについても説く。戦争報道の歴史的な変遷や、裁判員法にみるメディア規制の問題点も解説。

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ジャーナリズムの可能性 (岩波新書)

著者:原 寿雄

出版社:岩波書店   価格:¥ 735

asahi shohyo 書評

東北学/忘れられた東北 [著]赤坂憲雄

[掲載]2009年2月22日

 文化果てる地という東北のイメージは、南の稲作中心史観に縛られた見方と主張。イタコ、ナマハゲ、マタギなどに「仏教以前」の東北の豊かな文化を見いだすとともに、柳田民俗学や芭蕉の句の限界を論じる。思考の土台は自家用車を駆ってのフィールドワーク。

asahi shohyo 書評

屋久島ジュウソウ [著]森絵都

[掲載]2009年2月22日

 のんびり楽しいグループ旅行のために訪れた屋久島。だがなぜか著者らは九州最高峰の宮之浦岳へ登ることに。登山用語の「縦走」という言葉も知らなかった一行が、急峻(きゅうしゅん)な山に挑んだオフビートな登山記。

asahi shohyo 書評

考える人 [著]坪内祐三

[掲載]2009年2月22日

  小林秀雄、中野重治、武田百合子、植草甚一、福田恒存ら16人の作家・評論家のテキストを丹念に味読することによって、その「考える人」たちの様々な「考 える」しかたを考えてゆく。そこでは著者もまた「考える人」としてある。その軌跡をたどることは、読者をも「考える人」たらしめる。

表紙画像

考える人 (新潮文庫)

著者:坪内 祐三

出版社:新潮社   価格:¥ 500