2009年8月31日月曜日

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2009衆院選

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衆院選:福田衣里子さんが「当選御礼」のつじ立ち 長崎

当選から一夜明け、事務所前の道路を走る車に向かってお礼のあいさつをする福田衣里子さん=長崎県諫早市栗面町で2009年8月31日午前7時26分、金澤稔撮影
当選から一夜明け、事務所前の道路を走る車に向かってお礼のあいさつをする福田衣里子さん=長崎県諫早市栗面町で2009年8月31日午前7時26分、金澤稔撮影

 衆院選長崎2区の民主新人、福田衣里子さん(28)は、初当選から一夜明けた31日午前7時20分から早速、長崎県諫早市内の事務所前交差点で 「当選御礼」のつじ立ちをした。身長150センチの小さな体を伸ばしながら手を振り「ご声援ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します」。 クラクションを鳴らして応える車もあった。

 自民前職で元防衛相の重鎮、久間章生さん(68)との対決は全国屈指の注目区となっただけに、つじ立ちの様子から中継され、テレビ局の取材が相次 いだ。「2時間、ぐっすり眠れました」と言う福田さん。薬害C型肝炎訴訟をともに闘った患者から「私たちの代表として頑張って」とメールを受けたといい、 「これがスタート。今までの政権は(社会に)命すら危ぶまれる人がいることに、最後の最後まで気付かなかった。立て直すのは大変だが頑張りたい」と語っ た。【錦織祐一】

毎日新聞 2009年8月31日 11時37分(最終更新 8月31日 16時48分)




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2009衆院選

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衆院選:民主小選挙区、5割の得票率で7割の議席

 衆院選で空前の308議席を獲得した民主党の得票数は小選挙区、比例代表ともこれまでの最多記録を塗り替えた。小選挙区では5割の得票率で7割の議席を獲得したことになり、得票率の差以上に議席数に開きが出る小選挙区制の特徴が顕著に表れた。

 民主党は小選挙区で、現在の小選挙区比例代表並立制が導入された96年以降最多の221議席を獲得した。一方、自民党はこれまでで最少だった03年の168議席にも遠く及ばない64議席と惨敗した。

 定数300に占める獲得議席数の割合(議席占有率)は民主党73.7%、自民党21.3%で、その差が3.5倍だったのに対し、得票率は民主党 47.4%、自民党38.7%で差は1.2倍しかなかった。得票が1票でも多い候補が当選し、有効投票数の半分以上が「死に票」となることもある小選挙区 制の特徴といえ、前回大勝した自民党の「勝利の構図」と全く同じ形になった。

 衆院全体の議席数では、中曽根康弘首相(当時)が主導した86年衆院選(参院選との同日選)で自民党が獲得した300議席(当時は定数512)が長く最多記録だった。【横田愛】

毎日新聞 2009年8月31日 13時29分



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衆院選:民主、比例でも最高の2984万票

 衆院選の比例代表では民主党は2984万票(得票率42%)を獲得し、得票数・得票率とも96年に現行の小選挙区比例代表並立制が導入されてから 最高を記録した。11ブロックすべてで同党の得票数は過去最高となり、前回(05年)衆院選の自民党の2589万票(同38%)をはるかにしのぐ圧勝。他 党は前回より得票率を減らし、民主党の「独り勝ち」だった。

 民主党は東北、北関東、南関東、北陸信越、東海の各ブロックで過去最高の議席数を獲得した。近畿ブロックでは小選挙区との重複候補者の落選が少なく、比例単独候補を合わせても候補者が2人不足し、自民、公明両党に議席を譲った。

 自民党は1881万票で、得票率は27%と11ポイントも減少。前回、得票率4割を超えた北関東、南関東、東京の各ブロックで今回は25〜26%と振るわず、議席数も東北、北関東、東海、四国の4ブロックで過去最低となった。

 公明党は805万票(得票率11%)と前回より93万票の減。共産党は494万票(同7%)で2万票増やしたものの、投票率が上昇したため得票率 は0.2ポイント下がった。社民党も300万票(同4%)で71万票減らした。新党大地は前回とほぼ同じ43万票を獲得して1議席を維持。国民新党は議席 を失った。

 みんなの党は、北関東、南関東、東京の各ブロックで6〜8%の票を得てそれぞれ1議席を獲得。東海、近畿でも1議席に相当する票を得たが、比例名 簿に登載された候補者が重複立候補した小選挙区での得票率が10%に満たず、公職選挙法規定により復活できなかった。【鈴木直】

毎日新聞 2009年8月31日 13時30分



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2009衆院選 開票速報

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衆院選報道:「自民失政への罰」米主要紙が分析

 日本の総選挙での民主党の圧勝について、各国メディアはトップニュースで伝えるなど高い関心を示した。

 米主要紙は、民主党の勝因は同党への期待ではなく、経済政策の失政などで支持を失った自民党への「罰」などと報じた。ワシントン・ポスト紙(電子 版)は、民主党の勝利は「自民党に罰を与えたかったようだ」と伝え、「有権者は民主党の公約が実現可能か懐疑的にみている」と論評した。

 ◇「日本のケネディが目標達成」…独紙

 独フランクフルター・アルゲマイネ紙(電子版)は鳩山由紀夫・民主党代表をケネディ米大統領にたとえ「日本のケネディが目標を達成」と報じた。「出自と公約の矛盾が有権者を遠ざけることはなかった」とした。

 フランスのフィガロ紙(電子版)は30日までに、民主党の公約を分析。子ども手当の支給などを例に「民主党は、社会的不公正に挑戦する意向だ」とした。

 ◇「靖国」の姿勢評価…中国・韓国紙

 中国では鳩山代表の「進歩的歴史観」が期待されている。31日付の中国各紙は歴史問題に関する鳩山発言を掲載、日中関係安定化へ期待をにじませた。

 新華社通信によると、鳩山代表は02年6月当時、江沢民国家主席(当時)と会談し「日本は侵略戦争の歴史を真剣に反省すべきだ」と語った。今年6 月には中国の崔天凱駐日大使に「靖国神社には参拝しない」と明言したと紹介した。中国国内には日本との領土問題や自衛隊の活動活発化への警戒感が根深く、 民主党への政権交代で「鳩が舞う」(北京晩報)などと平和路線への期待が高まっている。

 韓国では、31日付の有力紙が歴史問題などで両国関係に良い影響を与える、との期待感を示した。朝鮮日報は選挙結果を伝える1面トップ記事で、首 相や閣僚が靖国神社を参拝せず、国立追悼施設を建立することで「(両国間の)葛藤(かっとう)の原因をなくすと(民主党が)公約した」と伝えた。【ワシン トン古本陽荘、パリ福原直樹、北京・浦松丈二、ソウル大澤文護】

毎日新聞 2009年8月31日 13時56分




kinokuniya shohyo 書評

2009年08月30日

『サルコジ マーケティングで政治を変えた大統領』国末憲人(新潮選書)

サルコジ マーケティングで政治を変えた大統領 →bookwebで購入

「何でこんな男がフランス大統領になれたの?」

 アメリカ大統領のオバマの名前を知らない人は殆どいないだろうが、現フランス大統領のニコラ・サルコジの名前を知っている日本人はどの程度いるだろう か。私は一度サルコジと「接近遭遇」したことがある。パリ16区のローリストン通りに古くからあるレストランで食事をしていたら、一つ置いたテーブルにサ ルコジがいるのに気づいた。彼の同席者は男性が一人。15年程前の話なので、思えばサルコジはシラクににらまれて不遇の時代をすごしていた時だった。しか し、彼が大統領になるとは、その時には微塵も想像できなかった。

 国末憲人の『サルコジ』の帯を見て驚いた。「なんでこんな男が、フランス大統領になれたの?」その上には「移民出身の小男。離婚2回で現妻は スーパーモデル。酒が飲めず文化にも興味なし・・・・・・」とある。フランスに住む多くの日本人が、思っていてもなかなか口に出来ないことが、印刷されて いる。これは、買って読むしかない。

 大統領選挙に勝利した直後、サルコジは友人の実業家の所有する豪華ヨットに乗り、地中海で遊んでいる事を報道され、世の顰蹙をかっている。それに 懲りもせず、「友人」たちの援助で豪勢に遊びまわっていたが、それを筆者は「つまり、成り金なのである。」と切り捨て、数々の暴言や奇行に関しても「地で もわがままだが、演じてもわがままなのである。」と容赦ない。

 小気味が良い所が多いのだが、国末は決して主観のみで判断しているのではない。朝日新聞のパリ支局員、支局長として、他の日本人ジャーナリストが 関心を持たない部分まで、徹底的に取材している。サルコジの番記者(フランス人)に混じり、ただ一人の日本人記者として大統領の外国訪問に随行してもい る。筆者にとってサルコジは気になる存在であり、それを通してフランスを、そして世界の動きを敏感に理解しようという姿勢が見える。

 サルコジは二度離婚しているが、特に二番目の妻セシリアとのエピソードは興味深い。セシリアは元々人気テレビ司会者のジャック・マルタンの妻だっ たが、結婚式の時ヌイイーの市長だったサルコジと出会い、紆余曲折の末サルコジと再婚している。夫をコントロールしているような、かつてのビル・クリント ンに対するヒラリーを思い出させる行動に出たりもするが、セシリアは「もう一人のサルコジ」のようだと、筆者は分析する。

 そのセシリアと現職大統領として離婚し、スーパーモデルで歌手でもあるカーラ・ブルーニと再婚する。強烈なスキャンダルなのだが、サルコジは私生 活を権力把握のために「活用」する。離婚を発表するのも、フランスで大規模なストが行われている日だった。一大ニュースのせいで、ストが霞んでしまった。 これを狙ったのだとしたら、恐ろしくなる。カーラも再婚だが、三面記事的エピソードには事欠かない女性である。

 国末はサルコジがここまで登りつめた要因は、ビジネスの世界で行われている「ストーリーテリング」のおかげだと言う。今までの大統領—ド・ゴー ル、ミッテラン、シラクのような「国父的存在」とは一線を画した新しい指導者である。サルコジに厳しい目を向けながらも「サルコジのような人物こそ、この 現代社会に合致する指導者なのかもしれない。」と冷静に判断している。日本でも衆議院選挙が行われた。サルコジの姿を捉えることは、例え反面教師的意味で あったとしても、日本の行く末を考える良い機会であるに違いない。


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kinokuniya shohyo 書評

2009年08月31日

『精霊たちの家』イザベル・アジェンデ (河出書房新社)

精霊たちの家 →bookwebで購入

「『運命』を口にできる体験の重み」

夏は私にとってそのためにとっておいた本を読む季節だ。中身のしっかり詰まった厚めの本をゆっくりとめくる。物語の舞台がどこか遠い国ならばなお理想的。夏休みの思い出と旅の記憶がよみがえり、東京にいるのを忘れる。

『精霊たちの家』はチリ出身の女性作家イサベル・アジェンデによるある一族の物語だ。以前に国書刊行会から出たときに買い求めたが、何かにさまたげ られて中断して以来、再開の機会を狙っていた。今年3月、この作品が池澤夏樹の個人編集による世界文学全集の1冊として刊行され、この夏はこれだと思って とっておいた。

第1章は絶世の美女ローサの話ではじまる。彼女が主人公かと思いきや、間もなく死んでしまい、その役は末の妹クラーラに引き継がれる。彼女は食卓の ものを手を触れずに動かしたり、先の出来事を予知する超能力少女だが、1章で早くも重大な発言をする。神父が説教している最中に、教会中にとどろくような 声でこう言うのだ。

「レスポース神父様、さきほどから地獄、地獄とおっしゃってますが、それが根も葉もない作り話だったら、ばかを見るのは私たちじゃありませんか……」

最後まで読み終えて再び1章にもどったとき、長大な物語を貫く一本の糸がここに隠されているのを感じた。

クラーラは美貌の姉の亡きあと、姉の許婚者と結婚。相手はエステーバン・トゥルエバという意志強固で肉体堅牢なマッチョで、忘れ去られた田舎の農場 再建に尽力する。クラーラは三人の子供の母になり、やがてその娘に子供が生まれで祖母になる。三代にわたる母系の物語に流れるのは、10歳のクラーラが予 言したように、宗教的価値観が崩壊し、イデオロギーの時代に転換していく歴史の趨勢なのだ。

「9.11」というと私たちはアメリカの同時多発テロを思い浮かべるが、ラテンアメリカではずっと以前から「9.11」 は特別な日だった。1970年、チリで世界初の選挙による社会主義政権が樹立するが、3年後に軍事クーデターで覆される。それが9月11日だったのだ。著 者は短期間政権をとったアジェンデ大統領の姪に当たり、この歴史的事件にむかって一族の物語をじっくりと書きおこしていく。

物語の中盤までは、大農場主の暮らし、運命を変えられない下層の小作人の生活、運命の過酷さ、自然の強烈さなどが、現実と超現実を行き来する淡々とした描写で浮き彫りにされるが、私にはどこか「遠い世界の出来事」のような印象があった。

ところが孫がピッピー世代に突入するあたりから、それが変わる。私自身と地続きの出来事になり、切迫感が出てくる。それ以前の部分をエキゾチックに 感じるのは、ひとえに私がラテンアメリカの歴史にうといからで、「9.11」の意味も知らないのだから、フジヤマとゲイシャが日本文化だと思う欧米人と大 差がない。

そうしたこちら側の無理解が原因のファンタジー感覚は、1960 年代に突入するやいなや消えてしまう。本書がもたらした最大の驚きはそれだった。

編者の池澤夏樹が月報の中で指摘しているように、前半部はガルシア・マルケスの『百年の孤独』を彷彿させる。現実と非現実が違和感なく交錯するマ ジックリアリズムの文体が過去の出来事を神話的に語る。ところが、後半では物語ぜんたいがその枠を破って現実世界に踊り出てくるのだ。自分がいまを生きる のに必要なことを書かなければならない、という著者の声がそこに読み取れる。

エステーバン・トゥルエバはやり手の勢力家で、農場を成功させて地位を築き国会議員になるが、娘のブランカは小作人の男に恋し、その子供まで産む。アルバという名のその娘は成長して社会主義活動家と恋仲になり、そのことが原因で軍事政権下で激しい拷問を受けるのだ。

その拷問を指揮したガルシア大佐は、アルバの祖父であるところのエステバーンが手込めにした小作人の女の孫で、祖父の血をわずかに引いたアルバの血 縁である。憎しみがイデオロギーに裏打ちされたときに人が示す残虐さは底なしだ。息もつけないような残酷な出来事が記述される。

エピローグが素晴らしい。本書の構造が一気に解ける。1章の最初に、クラーラが少女時代からつけてきたノートが家にあり、「私はそのノートのおかげ で過去のできごとを知り、突然襲ってきた不幸な時代を生き延びることができた」という1行があるが、この「私」とはアルバなのだ。彼女は拷問を生き延びて 実家にもどったとき、祖母のノートを手がかりに一族の過去を語るのである。

随所に祖父エステーバンの回想が挟まれ、彼だけが「私」を自称して過去を語ることに最初は少し面食らったが、この構造もエピローグを読んで明らかに なった。アルバは祖父のすすめでこの物語を書き、祖父自身も自らも筆をとって記憶を書き残した。つまりこの物語には祖父と孫娘の共同作業という意味が込め られている。

驚愕させられた一文がエピローグの中にあった。自分を拷問したガルシア大佐にどう復讐しようかと筋書きをあれこれ頭に描いていたが、しだいに「生まれる前から定められていた運命の図式」だと思うようになったとアルバは語り、こうつづける。

「すべての線はなんらかの意味を備えている。随行されるべき一連の行為はすでに定められていた。そして、祖父が川岸の茂みで彼の祖母パンチャ・ガル シアを押し倒した時、その一連の行為にひとつまた新しい結び目が付け加えられたのだ。その後、強姦された女の孫が強姦した男の孫娘に対して同じことをし、 おそらく四十年後には私の孫が彼の孫娘を川岸の茂みで押し倒すことになるだろう」

とくにぎょっとしたのは「おそらく四十年後には……」ではじまる最後の部分である。「運命」という言葉はいまの私たちには遠い。とくにアメリカ的価 値観がゆきわたった社会関係のなかで「運命」を公言するのは勇気がいる。それは何かを放棄し、あきらめることを意味するからだ。現実社会では「運命」は死 語化し、「物語」のエンディングのためにとってある言葉のように思える。

先の引用文の後につづく「苦痛と血と愛の果てしない歴史の中で、これから何世紀にもわたってそういうことが繰り返されるのだ」という言葉は、この1 行だけを取り出せばゲームさながらの世界系小説の安せりふのように聞こえてしまう。だが、「自分の孫が四十年後に彼の孫娘を押し倒すであろう」という言葉 がその前にあるために重みが加わっている。「物語」の内部にとどまらない作者の意志に粛然とするのだ。こういうセリフは私にはとても言えない。口にできる ほどの運命を体験したことがないのだ。


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16年ぶり非自民政権へ…日本政治の転換点

 政権選択を最大の焦点とした第45回衆院選は30日投票が行われ、即日開票の結果、民主党が過半数(241)を上回り、308を議席を獲得して政権奪取を果たすことになった。

 自民党は結党以来初めて第2党に転落、麻生太郎首相は30日夜、党総裁を辞任することを表明した。

 非自民政権の発足は細川政権以来、16年ぶり。衆院選で野党第1党が単独過半数を得ての政権交代は現憲法下では初めてで、日本の政治は大きな転換 点を迎えた。民主党の鳩山由紀夫代表はただちに政権移行の準備に着手し、社民、国民新両党と連立に向けた政策協議を行う。鳩山氏を首相とする新政権は9月 中旬に誕生する。

(2009年8月31日03時29分 読売新聞)



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民主の新政権、09年度補正予算見直しへ

笑顔を見せる鳩山代表(30日午後9時33分、民主党開票センターで)=中村光一撮影

 鳩山氏は31日未明、東京都内の民主党開票センターで記者会見し、「長く続いた自民党政権に対して国民が新たな政権を選択した。数におごることのない政治を行いたい」と述べた。

 これに先立ち、鳩山氏は30日夜、新型インフルエンザ対策など危機管理に対応するため、麻生内閣からの事務引き継ぎを早期に受けられるよう求める考えも示した。

 新政権の人事は、小沢、菅両代表代行、岡田幹事長、輿石東参院議員会長と協議して決める考えを強調した。

 新政権の枠組みに関し、参院では民主党単独で過半数がないことを踏まえ、「社民、国民新両党と連立を組みたい」と改めて表明。3党でまとめた消費税率据え置きや、郵政事業の4分社化体制の見直しなどを柱とする共通政策を基に、協議に入る。

 民主党は政権公約(マニフェスト)で「子ども手当」支給や高校教育無償化などを2010年度から実施することなどを掲げた。予算などの基本方針を 定める首相直属の「国家戦略局」を当面、「国家戦略室」として始動させ、麻生内閣のもとで決まった09年度補正予算の見直しなどにただちに取り組む方針 だ。

 一方、麻生首相は自民党本部で「責任を負わなければならない。一党員として党の再生に力を注ぎたい」と述べ、党総裁を辞し、後継総裁の選出を急ぐ考えを示した。首相指名選挙を行う特別国会の日程は民主党の意向を尊重すると明言、召集日は9月中旬になる見通しだ。

(2009年8月31日02時16分 読売新聞)



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自民、過去最少議席で野党転落

 自民党は1955年の結党以来、初めて衆院の第1党から転落し、政権の座も失った。

 歴史的な大敗からの立て直しが課題となるが、議席を失った有力者も多く、壊滅的な打撃を受けた党勢の回復は容易ではなさそうだ。自民党は今回の敗 北を、「内閣支持率が低迷する中、民主党が掲げた『政権交代』に対抗する主張を展開できなかったのが原因だ」と受け止めている。

 安倍元首相、福田前首相がともに約1年で政権を投げ出し、自公政権への信頼が大きく揺らいでいたところに、麻生首相が就任直後から誤読や失言を繰 り返し、内閣支持率は何度か20%を切るまで落ち込んだ。首相は党内の「麻生降ろし」を抑えて衆院解散にこぎつけ、選挙戦では民主党の政権担当能力の欠如 を指摘した。しかし、小泉元首相が進めた構造改革で従来の支持基盤を失い、足腰が弱った同党には、劣勢は挽回(ばんかい)できなかった。

 党内には、「政・官・財が結びつき、経済成長で得た『果実』を国民に分配するような長年の自民党政治は、すでに『制度疲労』を起こしていた」とい う指摘もある。菅義偉選挙対策副委員長は30日夜、党本部で、「自民党は長年、政権の座にいて、ぬるま湯の中にいた部分がある。国民の目線から遠くなって いた」と語った。

 麻生首相の辞任表明を受け、自民党は総裁選実施の準備を始める予定だ。首相指名選挙を行う特別国会は9月中旬に召集される見込みだが、党内では特 別国会前の実施は難しいという見方が出ている。細田幹事長は31日未明、党本部で、「総裁選をしたうえで特別国会に臨むのは時間的に不可能だ。総裁選は地 方と党員の意見を反映する形がいい」と述べた。そのうえで、総裁選は9月下旬の公算が大きく、特別国会には麻生総裁のまま臨むこともあるという見方を示し た。

 一方、首相は30日夜、党本部で、「できるだけ速やかに、地方組織、議員の意見も入れて総裁選を行い、出直さなければいけない」と述べた。党幹部は31日昼に対応を協議する。

 「ポスト麻生」には、舛添厚生労働相、谷垣禎一・前政調会長、石破農相らの名前が挙がっている。新総裁にとっては、来年夏の参院選での勝利が当面の目標となる。

 ただ、議席数が過去最少まで落ち込んだ状態で野党に転落することになり、党が求心力を維持できるかどうかが大きな課題となる。

(2009年8月31日07時39分 読売新聞)



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政治家4代の名門「宇宙人」…鳩山代表

※敬称略

 次期首相就任が確実となった民主党の鳩山代表は、4代続く政界の名門出身。

 曽祖父・和夫氏は元衆院議長。祖父の鳩山一郎・元首相は初代自民党総裁で、麻生首相の祖父、吉田茂・元首相と激しい権力闘争を繰り広げたことで知られる。父・威一郎氏は元外相。

 鳩山氏は東大工学部卒。工学博士号を持ち、専修大助教授を務めた。1986年の衆院選で自民党から出馬して初当選し、田中派に所属した。

 「友愛」が政治信条。理想主義的で穏やかな物腰から「優柔不断で頼りない」との不満も根強い。とっぴな言動などから「宇宙人」との評もある。前総務相で自民党所属の弟・邦夫氏との連携も取りざたされるが、衆院選前には「念頭にない」と否定した。

(2009年8月31日06時37分 読売新聞)




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民主の女性パワー、自公大物の牙城を崩す

初当選し花束を受け取って笑顔を見せる福田さん(30日午後10時54分、長崎県諫早市で)
当選を決め、支持者から花束を受け取る青木さん(30日午後11時54分、東京・北区で)

 民主の女性パワーが、自公の大物の牙城を崩し、民主の女性議員は前回の7人から5倍以上に増えた。

 ◆元防衛相破り福田さん笑顔◆

 長崎2区では、民主新人・福田衣里子さん(28)が、防衛相も務めた大物で、10選を目指した自民前議員・久間章生さん(68)ら4人を破って初 当選。午後11時前、支持者が集まる結婚式場に姿を見せた福田さんは大歓声で迎えられ、次々と握手や抱擁を求められた。三つ四つと花束を渡され、グレーの ジャケットが見えなくなるほど。日焼けした顔に白い歯を見せ、「みなさん一人一人の行動が票につながった」「今回の選挙で底辺の方が広いんだと思った」と 笑顔で語った。

 薬害肝炎訴訟で九州原告団代表を務め、国との和解が成立した時には「結婚して台所に立つのかな」と将来を描いていた。それが昨年9月、当時代表だった小沢さんから直々に出馬を打診され、「おじさんたちがやるもの」と思っていた政治の世界に飛び込んだ。

 初めは、数百人の有権者と笑顔で握手を続ける毎日には戸惑いもあった。だが、手のぬくもりを感じるうち「人の命や人生の尊さが分からない政治はもうたくさん」と迷いは消え、「政治家の顔に変わった」(陣営幹部)という。

 国政での抱負を問われ、「肝炎患者支援の法制定と、医療福祉の施策を充実させたい」と表情を引き締めた。

 ◆小池さんしのぎ感激の江端さん◆

 東京10区の民主新人、江端貴子さん(49)は午後11時30分頃、東京・豊島区の事務所で「象徴的な選挙区で勝てたことが、政権交代に大きな意味をもたらすと思う」と感激した様子で語った。

 ライバルは、前回の郵政選挙で「刺客」として注目を集めた自民前議員で、環境相や防衛相も務めた小池百合子さん(57)。江端さんは東大の特任准教授など華々しい経歴を持っていたが、2007年12月の公認内定時には、支持者からは「力不足」との声も上がっていた。

 それが毎朝、駅頭に立ち続けるうちに、「無党派だったはずの家にポスターが張ってある」と他陣営から恐れられる存在に。この日も「皆様の政治を変えたいという思いを必死に受け止めた。それが勝利につながった」と胸を張った。

 ◆青木さん「結果出せ良かった」◆

 「結果を出せて良かった」とホッとした表情を見せたのは、東京12区で、公明党代表の太田昭宏さん(63)との激戦を制した民主元議員の青木愛さん(44)。

 前回の選挙で落選後の約2年間、小沢さんの私設秘書を務めた「小沢チルドレン」の一人で、2007年に当選した参院議員の任期を残してくら替え、太田さんの「刺客」になった。

 出馬表明は解散後の7月24日と出遅れたが、「国のために頑張る気持ちがあるか」と小沢さんに問われ、迷わず応じたという。

 「東京12区は自公連立の象徴で1議席はとても意味がある」。青木さんは支持者の前で目を潤ませた。

(2009年8月31日06時20分 読売新聞)