2009年10月11日日曜日

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アサリのサプリは「甘い水」 ブドウ糖入りで成長3割増

2009年10月11日13時54分

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 アサリの稚貝を水槽で育てるときに、ブドウ糖を加えてやると、成長が3割も促進されることが水産総合研究センターの実験でわかった。ブドウ糖は、医療用 に人の点滴などに使われるのと同じ成分。アサリのえさではないが、栄養を補助する「サプリメント」として効果があるらしい。

 日本の天然アサリ資源は80年代半ばから全国的に減り続けている。資源の回復をめざして、アサリを人工産卵させ、大型水槽で稚貝を育てる取り組みが始まっている。水槽にブドウ糖を加えてやれば、短い期間で効率的に稚貝を育てて放流できるようになると期待される。

 アサリは、海水と一緒に植物プランクトンなどのえさを吸い込んで食べる。ブドウ糖は、こうしたえさとは別に、アサリの表皮から直接吸収される。同 センター瀬戸内海区水産研究所の内田基晴・主任研究員らは、ブドウ糖の濃度を様々に変えた水槽で、計180匹のアサリ稚貝を約3週間飼育した。その結果、 海水1リットル当たり100ミリグラムのブドウ糖を加えると、何もしない場合に比べて肉の重量が3割多くなることが分かった。

 また、ブドウ糖にはアサリの味を良くする効果もあることが分かった。出荷前のアサリを、1リットル当たり100ミリグラムのブドウ糖を加えた海水に24時間浸すと、主なうまみ成分であるコハク酸の体内含有量が2.8倍になるという。

 研究チームは海水中の微量な有機物によってアサリの成長が促進されたり阻害されたりする現象に注目。ビールの原料成分でもある麦芽糖など14種類の有機物について飼育実験を繰り返す中で、ブドウ糖の効果に気づいた。(山本智之)




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