子どもの体力低下、底打った? 文科省調査で上昇傾向
子どもの走る、跳ぶ、投げるなどの運動能力が、この10年間で上向く傾向にあることが、文部科学省が11日に公表した「体力・運動能力調査」で明らかに なった。運動能力の数値が高かった20年前と比べるとまだ低い水準だが、担当者は「体力低下に底を打ち、向上の兆しを確認できた」と分析する。
調査は、東京五輪が開かれた64年度に始まり、毎年10月、体育の日に発表してきた。今回は08年5〜10月に全国で実施し、6〜79歳の男女約7万人の結果を分析した。
このうち6〜19歳の青少年層の対象者は約3万4千人。最近10年間の小学生(11歳)、中学生(13歳)、高校生(16歳)の傾向をそれぞれ分 析すると、小・中学生は持久走、50メートル走、ボール投げの種目で「横ばい」または「向上」の兆しがみられた。高校生はほとんどの項目で「横ばい」だっ た。
たとえば、中学生の握力や50メートル走、反復横跳びなど9種目の合計点は、この10年間で男子、女子ともに「向上した」と評価された。50メー トル走の結果を89年度、99年度、そして今回の08年度の10年間隔で比べると、男子が7.96秒→7.96秒→7.92秒、女子が8.72秒 →8.89秒→8.78秒と推移した。
また、中学生の上体起こし(腹筋運動)の結果を、データのある10年前と比べると、男子が23.45回→27.50回、女子が18.15回 →23.08回と良くなった。ただし、握力は男子が10年間で「低下」、女子が「横ばい」という結果だった。調査した順天堂大の内藤久士教授は「徐々に上 がり幅が良くなっている。子どもの体力低下に危機感を持って進めた地道な取り組みが功を奏してきたのではないか」と話した。
体力・運動能力は男子が17歳ごろ、女子は14歳ごろにピークを迎え、年齢を重ねると下がっていく傾向は例年と変わらなかったという。(見市紀世子)
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