飛鳥美人に傷つけた 過って機材当てる 高松塚壁画
奈良県明日香村の高松塚古墳(7世紀末〜8世紀初め、特別史跡)の極彩色壁画(国宝)について、文化庁は9日、石室の東壁に描かれた「飛鳥美人」と呼ば れる女子群像画を過って傷つけた、と発表した。機材の先端が壁画に触れ、衣装部分が長さ約3ミリ、幅約1ミリにわたり剥落(はくらく)したという。石室は 昨年解体され、壁画は村内の施設で修理中。解体後、施設内の修理作業中に壁画が損傷したのは初めて。(渡義人)
同庁によると、事故があったのは11月25日午後。文化庁と東京、奈良両文化財研究所の職員7人が機材を使って壁画の材料の調査を終えた後、片付けの際に気付いたという。
当初、同庁職員は「汚れの部分が落ちただけ」と判断し、上司に報告していなかった。8日になって奈文研に写真の撮影を要請。詳しく調べた結果、顔 料がなくなり、下地の漆喰(しっくい)の露出がわかったという。損傷個所の左側約40センチの壁面上で、剥落部分と同サイズの破片が見つかった。今後関連 を調べ、修理が可能か検討する。
同古墳壁画は1972年に発見された。カビの大量発生などで劣化が進み、当初、石室内で除去作業が進められた。01年12月に作業員の不注意で、 石室東壁の「青竜」の舌の一部が直径約2ミリ剥落した。02年1月にもカビの除去中、電気スタンドを過って倒し、西壁の男子群像の中央部が直径1センチの 半円状に剥落した。いずれも未公表のまま修復され、その後判明した。
今回は事故から公表まで約2週間かかった。文化庁の小山竜司・古墳壁画室長は「本来ならもっと早くお知らせすべきだったが、組織内の情報共有に問題があり、反省している。再発防止に努めたい」と話した。
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