2008年12月10日水曜日

asahi shohyo 書評

外交官の「うな重方式」英語勉強法 [著]多賀敏行

[掲載]2008年12月7日

  • [評者]加藤出(エコノミスト)

■文脈の中で意味を味わう

 英語に悩むビジネスマンは多い。「若い頃にちょっと語学留学していたら違ったかも」と思う人は結構いるのではないだろうか。

 本書は、そういった幻想を"金粉浮遊説"と呼んでいる。英語圏の国には英語がうまくなる"金粉"が浮遊していて、それを1〜2年吸っているといつの間にか上達するという考えは「誤り」だと断言している。

 結局、地道に学習するしかないようだ。しかし、無味乾燥に英単語を覚えようとしても長続きしない。そういう悩める人々に本書は 「うな重方式」勉強法を推奨している。うな重は「うなぎ、ご飯がたれを媒介として混ざっているのが美味(おい)しい」「ご飯にたれがまざったところ、これ がまた美味しい」。

 つまり、文脈の中に単語を置いて、意味を確認し、味わうという勉強法である。前半部分には、語源などに関する「へえ」と思わず唸(うな)るような小ネタもたくさん登場する。

 著者は日本の学校の英文法教育を高く評価している。「折角(せっかく)優れた英文法教育を軽佻浮薄(けいちょうふはく)な英会 話教育のために捨ててしまうのはあまりにも惜しい」。そこで、英文法が好きになる話を後半部分に収録している。冠詞の使い方、canとbe able  to、あるいは使役動詞have,get,make,letのニュアンスの違いなどが、楽しみながら理解できる。「もう一度文法の教科書を開いてみよう か」という気にさせてくれる本である。

表紙画像

外交官の「うな重方式」英語勉強法

著者:多賀 敏行

出版社:文藝春秋   価格:¥ 756

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