2008年12月16日火曜日

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遊郭街「日本亭」の保存運動、資金メド立たず断念 熊本

2008年12月16日7時56分

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写真保存運動が断念された旧日本亭=熊本市二本木1丁目

 明治から昭和にかけて九州有数の遊廓街だった熊本市二本木地区に残る「旧日本亭」が、来年にも取り壊される見通しとなった。保存運動に取り組んでいた市 民団体「旧日本亭公開有志の会」が2億〜3億円かかるという改築経費の調達を断念し、11月下旬に解散した。所有者は、新たな土地の用途が決まり次第取り 壊す方針だ。

 旧日本亭は1896年、米相場で財をなした中島茂七が建築。当時は木造3階建てだったが、1975年の火災で2階建てになった。売春防止法施行以降は貸間として利用されていた。老朽化のため所有者が解体を決め、今年5月以降は無人となった。

 地元住民約30人が7月、「旧日本亭をまちづくりのシンボルに」と有志の会を設立し、8月と12月に内部を公開し、延べ約1千人の市民が集まっ た。建物の保存を模索し、年末までに具体策を所有者に提示する方針だったが、改築費調達のめどがたたず断念。有志の会も解散した。

 元「有志の会」の喜津木博会長は「何とかして保存したかった。まだあきらめたくない」。所有する同市田崎の竹本健治さんは「何か良い案が出るかと思っていた。残念だがやむを得ない」と悔しそうだった。

 藤原恵洋・九州大学大学院教授(建築史)は「こうした建物が残っている例は全国的にも珍しい。地域の文化や歴史を考えると保存運動がもっと広がってほしかった。今後も情報発信を続けてほしい」と話している。



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