2008年12月24日水曜日

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反貧困でつながる(1)もうガマンできない!

2008年12月22日15時10分

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写真湯浅誠さん

 12月上旬。東京・飯田橋のNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」では、生活に行き詰まった人の相談が夜遅くまで続いていた。

 「所持金は?」。事務局長の湯浅誠さん(39)が聞くと、男性(58)はうつむきがちに「2万円です」。個人請負で働いているが、不況でこの2カ月は無収入だ。労働組合から「もやい」を紹介された。

 湯浅さんは「もやい」で、生活保護の申請同行やアパート入居の際の保証人代行をしていた。野宿者の仕事場として作った便利屋で自らも働く「ワーキングプア」だった。

 2年前、ある新聞記事を読み、怒りがわいた。「社会的に解決しないといけない大問題としての貧困はない」。竹中平蔵・総務相(当時)の発言だった。竹中 氏が旗を振った小泉改革と重なるように路上生活する若者が増え、ネットカフェからの相談も来始めた。「目の前にいる人たちの存在が全否定された」

 湯浅さんは「『貧困』をキーワードに横断的な組織を作ろう」と思い立つ。

 07年3月。有志と「もうガマンできない!広がる貧困」という集会を開いた。約420人を前に、当事者の発言が続く。ヤミ金融被害者の女性は「夫 の多重債務が原因で離婚、パートで働いても収入が足らず、福祉事務所からも追い返された」。それぞれの問題が絡み合っていることを、聴衆は肌で理解した。

 反貧困ネットワークは約50の団体で活動する個人が集まり、同年10月に発足した。湯浅さんは言う。「一つ一つの団体は小さく弱くても、結びつくことで社会的な力を持てる」

 「反貧困」を合言葉に、日々奮闘する人々を紹介する。(諸麦美紀)



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