私の名前のオリーブオイル イタリアに通って自ら栽培
アサクラオイル。ラベルはイタリア人のデザイナーに作ってもらったという
収穫したオリーブの実とともに=イタリア・アブルッツオ州(朝倉さん提供)
収穫作業をする朝倉玲子さん=10月、イタリア・アブルッツオ州で(朝倉さん提供)
オリーブオイルを使った料理を教える朝倉さん(左)=11月29日、福島県郡山市小原田
西欧料理に欠かせないオリーブオイル。その理想型を追い求めて本場のイタリアに出向き、ついには自らの名を冠したオリーブオイルをつくってしまった福島 県会津若松市民がいる。朝倉玲子さん、44歳。できるだけ自然に近い手法でオリーブを育て、年に何度もイタリアへ渡って枝切りまでするこだわりようだ。例 年売り切れる人気で、08年産は年明けから販売する予定だ。
その「アサクラオイル」は、イタリア中部アブルッツオ州にある約5ヘクタールの農園で無農薬・無肥料で栽培されたオリーブが原料。品種改良していない在来種なので野性的な味や香りが楽しめるという。
精製する際も、市販のオリーブオイルで一般的な濾過(ろか)はせず、現地で搾りたてを瓶に詰める。味わってみると、非常に濃厚で、しかもスパイシーな感じがした。
朝倉さんがイタリアへ渡ったのは96年。料理を学ぶためだった。そこでオリーブオイルのおいしさに目覚めた。
「日本で食べていた、あの臭いオリーブ油は何だったのか、とショックでした」。現地でさえ、オリーブオイルとうたいながらサラダ油などを平気で混ぜているひどい現状も目の当たりにしたという。
いくつもの農家民宿やレストランで働きながら、「日本でオリーブオイルの魅力を広めたい」と決意。帰国後の00年、イタリアで自ら探し出した生産者がつくるオリーブオイルの輸入販売を始めた。
同時に、全国を回って本場イタリア料理の講習会を開くなど奔走。そうするうちに需要が増え、別の生産者を探す必要が出てきた。
そんなとき、イタリア人の友人に言われた。
「自分で作れば?」
それがきっかけで畑探しをはじめ、20年以上肥料を入れたことがないという理想的なオリーブ園を発見した。土地は現地の友人が購入。朝倉さんは枝切りに、草取りに、収穫に、と年がら年中イタリアに渡ってオリーブの手入れに精を出している。
3年目の今年は、250ミリリットル入り瓶で1800本分ほどつくれる見込み。1本3580円と決して安くはないが、都内の自然食品店や料理店、個人からの予約で毎年完売する人気ぶりだ。
オリーブオイルは調味料、と朝倉さんは言う。「まだまだ使い勝手を知らない人が多い。もっとシンプルに、日本の食材を楽しむことができるようになりますよ」。ライフワークとして、より安全でおいしいオリーブづくりを極めたいと思っている。
08年産アサクラオイルは、朝倉さんのサイト(http://www.orcio.jp)で予約を受け付け中。(田玉恵美)
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