社説:女性最多国会 5割への道も1割から
特別国会がきょう召集され、首相指名、組閣を経て鳩山政権が誕生する。新時代の幕開けに期待することは多いが、中でも歴史的一歩として活躍を望みたいのが過去最多となった女性議員たちである。
前回の43人を11人上回る54人が選ばれた。全衆院議員の11.3%である。1945年に女性が参政権を得て以来、初の10%超えだ。国際比較 では、102位が95位に上がる程度で、たった1割、まだ1割、との見方もあろう。だが、まずは「1割まで来た」と前向きにとらえたい。60年以上実現し なかったことが達成されたのだ。人口比を考えれば半数が女性であってもおかしくないが、その5割への道も1割からである。
54人のうち40人を民主党議員が占める。同党が積極的に女性を擁立したことが大きかった。将来は公募も含め、女性候補の比率がさらに高まるよ う、各党には工夫を求めたい。 ただ、女性が大量当選しても、彼女たちの能力を最大限に引き出し、公約実現の原動力として活用することができなければ、2 割、3割と高めていくのは不可能だ。選挙の時だけ「女性」を利用し、使い捨てにする愚を繰り返してはならない。
意識の転換が肝心だ。男性議員が男性の代表でないのと同様に女性議員も女性代表ではない。ところが実際は、女性の社会進出や少子化問題、教育など「女性ならでは」を期待した特定の分野に活動の場が集中する傾向にあった。
これからは、あくまで個々の能力や魅力という、当たり前の基準に沿った人材の育成、起用が大切になる。その意味で「民主連立政権」はまたとない転 換の好機ではないか。長らく続いた構造や慣行を根底から変えようという時だからだ。みんなが未体験の世界なのだから、新人もこれまでのようなハンディがな い。むしろ、新しい発想が強みとなる。
野党の女性議員にも今は極めてチャンスといえよう。従来型の政治が行き詰まり、一からの党立て直しが急務となっているからである。
政治に限らず、日本社会で最も埋もれた"資源"は女性だ。70年代に1ケタしかなかった女子の大学進学率は今や4割を超え、男子との差がかつてな く縮まったにもかかわらず、せっかく育てた人材がその潜在力を十分発揮できないでいる。人口減少が問題となる中、生かされない人口が何割もあるとは、もっ たいない。
少子化対策の議論では出生率の引き上げに関心が集中しがちだが、生まれてきた女の子が未来に限界を見るようではむなしい。「女性議員当選」がニュースにならないような社会を作ってこそ本質的な改善といえるのではないか。
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