賢治の「イギリス海岸」、北上川に現る ファンら大喜び
姿を現した「イギリス海岸」=21日午前、岩手県花巻市の北上川、小宮路勝撮影
宮沢賢治の作品の舞台として知られる国の名勝「イギリス海岸」(岩手県花巻市)が賢治の命日の21日、北上川河畔に現れた。ほぼ10年ぶりに姿を見せた白亜の岸辺に、訪れた賢治ファンは大喜びだった。
イギリス海岸は、北上川と猿ケ石川の合流点にある。日が照るとイギリスのドーバー海峡の白亜の海岸に似て、岩が真っ白に見えることから賢治が命名。賢治は花巻農学校教員時代にしばしば生徒と訪れ、その時の模様を随筆風短編「イギリス海岸」に描いた。
しかし、川の流れの変化などから、やがて岸辺は川底に沈み、さらにダム建設で、川の水位が安定するようになったため、一年を通して姿を見られなくなった。
以前はかんばつの影響で現れることがあった。今回は国土交通省と岩手県が協力し、上流の五つのダムの放流を制限。20日午後9時〜21日午前9時、5ダム合わせて最大毎秒154トンの放流量を約5分の1まで絞った。
千葉県松戸市の元中学教員渡辺一夫さん(68)は「海岸を賢治さんと一緒に歩いた気持ち」と話した。
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