2009年9月30日水曜日

mainichi international government Brendan Scannell EU Ireland Lisbon treaty

アイルランド:駐日大使「リスボン条約、可決に傾く」

リスボン条約について語るブレンダン・スキャネル駐日アイルランド大使=東京都千代田区で2009年9月29日、塩入正夫撮影
リスボン条約について語るブレンダン・スキャネル駐日アイルランド大使=東京都千代田区で2009年9月29日、塩入正夫撮影

 アイルランドで10月2日、欧州連合(EU)の統合推進を目指す基本条約「リスボン条約(改革条約)」批准の是非を問う2回目の国民投票が行われ るのを前にブレンダン・スキャネル駐日アイルランド大使が29日、インタビューに応じた。大使は昨年6月の国民投票での否決以降、アイルランドの独自性を 認める保証がなされたことなどから、国民は「リスクの高い決断はしない」と、可決に傾いているとの見方を示した。

 大使は、前回の否決について「国民の7割以上がEUを支持し、国会議員の9割以上が批准に賛成なのに否決した」と分析。原因は「国民の理解が不十分で、政府の周知不足もあった」と指摘した。

 条約について「難解で400ページ以上あり、普通の人はうんざりしてしまう。私が読んでも分からない」と述べたうえで、否決後の政府の調査で、妊 娠中絶禁止や家庭教育、安全保障、課税権など「アイルランドの主権が脅かされるとの誤解があった。条約はEU運営の効率化と透明化、説明責任明確化を目指 すものだ」と語った。

 だが、今回は、主権を脅かさないとの保証がEU側からなされたほか、世界的な経済危機もあり、「批准を否決してさらに経済に悪影響が出ては困るとの意識がある。否決は不確実さを生み、政治家もビジネスマンもそれを嫌う。状況は変化した」とした。

 事前の世論調査では批准賛成が多数となっている。大使は「予断は許さない」と前置きしたうえで、「国民はリスクの高い決断はしない」と予想した。【宮川裕章】

 【ことば】リスボン条約

 EUが27カ国に拡大したのに伴い、欧州委員数の削減など効率化をはかるとともに、大統領や外相にあたるポストを創設、外交力の強化を目指す。発効には全加盟国の批准が必要だがアイルランド、ポーランド、チェコが批准を終えていない。

毎日新聞 2009年9月29日 20時10分(最終更新 9月29日 21時02分)




0 件のコメント: