数学者:世界的に名高い高木貞治博士の生涯 DVD化
「数学界のノーベル賞」といわれるフィールズ賞の第1回選考委員を務め、世界的に名高い数学者、高木貞治(ていじ)博士(1875〜1960年) の生涯を紹介するDVDを日本数学会(坪井俊理事長)が作った。新たな理論や基礎を重んじる思考で世界に影響を与えた先人の活躍を通じ、若い研究者たちに 奮起を促すのが狙いで、来年の没後50年の記念事業として全国の大学に配布する。
高木博士は、岐阜県数屋村(現本巣市)生まれ。東京帝国大を卒業し、29歳で同大教授に就任。「高木類体論」と呼ばれる理論で代数学の新分野を切 り開いた。国際数学者会議の副議長として、1932年にはフィールズ賞の創設にかかわり、同賞の選考委員5人に加わった。今なお教科書に使われる「解析概 論」や「数の概念」など多くの著書も残した。
DVDには、1950年のラジオ放送で流れた貴重な肉声が収録されている。高木博士は、基礎力を養う「頭の訓練」を重視する西欧諸国に対し、立国 のため実用性に偏重し、基礎を軽視しがちな日本の理科教育を憂慮、「まあ、おいおい改まっていくのでしょう」と語っている。現在の日本も、論文数を競う成 果主義が幅を利かせており、高木博士の「基礎重視」の指摘から学ぶ点は多い。DVDは約15分間で、生家などの写真、5歳のころの書、ドイツ留学時の様子 なども紹介する。
監修した真島秀行・お茶の水女子大教授は「近世の和算術から近代日本の数学へ飛躍的に高めた高木先生の姿を見て、日本のレベルの高さを若い人たちに感じてほしい」と話す。【山田大輔】
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