2009年9月28日月曜日

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托卵:ヒナを巣から排除する習性を持つ鳥発見 立教大など

 他の鳥の巣に卵を産んで育てさせるカッコウ類の「托卵(たくらん)」に対抗し、ふ化したカッコウ類のヒナを巣から排除する習性を持つ鳥を、立教大 などの研究チームが発見した。托卵された卵を捨てたり、巣ごと放棄する鳥は知られていたが、ふ化したヒナを追い出すのが確認されたのは世界初という。英科 学誌「バイオロジー・レターズ」で報告した。

 カッコウ類のヒナはふ化すると、宿主の鳥の卵やヒナを捨て、巣を独占してしまう。これに対抗し、日本にすむオオヨシキリなどは托卵された卵を巣から捨てるが、いったん卵がふ化してしまうと、自分の子とは似ても似つかない姿にもかかわらず、カッコウ類のヒナを育てる。

 今回見つかったヒナを排除する鳥は、オーストラリア北部に生息する体長10センチほどのハシブトセンニョムシクイ。立教大大学院生、佐藤望さん (25)らが同国のダーウィン市で、カッコウ類の卵が産みつけられたハシブトセンニョムシクイの巣11カ所にビデオカメラを設置。行動を観察し、これまで にヒナを捨てる行為を4例確認した。

 佐藤さんによると、ふ化してから数時間〜数日後、ハシブトセンニョムシクイの親鳥は抵抗するヒナを巣の外に放り出したという。佐藤さんは「卵はまったく似ておらず、ヒナ同士はよく似ているにもかかわらず、なぜふ化してから捨てるのか不思議だ」と言う。

 指導する上田恵介教授(鳥類生態学)は「卵の段階で捨てる方が余計な手間がかからず有利なはずだ。この謎が解明できれば、なぜ他の鳥が似ても似つかぬカッコウ類のヒナを育てるのかも分かるかもしれない」と話している。【西川拓】

毎日新聞 2009年9月28日 2時30分




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