2009年9月20日日曜日

kinokuniya shohyo 書評

2009年09月17日

『教養としての日本宗教事件史』島田裕巳(河出書房新社)

教養としての日本宗教事件史 →bookwebで購入

「河出ブックス」の創刊ラインナップを順次ご紹介しています。
〈選書〉という器全体が盛り上がってほしいという願いを込めて、各著者に「この〈選書〉がすごい!」という推薦の〈選書〉を挙げていただいていますので、そちらもお楽しみください。

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続いてのタイトルは、島田裕巳さんの『教養としての日本宗教事件史』です。

島田さんは、宗教学者・文筆家。新宗教教団の研究をはじめ、幅広い視野から現代社会のありようを問う著作を多数出されています。

執筆依頼に際しての私の関心事は、新宗教、すなわち比較的新しい時代の宗教の実像をわかりやすく解説してくれる島田さんが、日本の宗教史全体を書くとしたらどんなものになるだろう、という極めて素朴なものでした。
それを島田さんは、「宗教とは本来、スキャンダラスなものである」という、強力かつ魅力的な視点のもと、24章構成の「事件史」として編み上げてくださいました。

島田さんから読者のみなさんへのメッセージです。

「宗教は、相当にスキャンダラスなものだと思う。それも宗教が、人間のこころの底にある深い部分、闇の部分にとどくものだからだ。そうした観点から、日本の宗教の歴史を見直すとどうなるのか。今回の試みは、それを目的にしている。」

目次(章タイトル)は以下のとおりです。

まえがき
1 新しくやって来た仏教とそれを迎え撃つ神道との対決
2 大仏開眼という国際的イベントと環境破壊
3 命をかけて海を渡ってきた鑑真は本望をとげたのか
4 空海と最澄との戦いはけっきょくどちらが勝利したのか
5 往生への異様な情熱が時代を席捲する
6 日蓮の真の敵は空海だった
7 蓮如がいなかったら親鸞は生き残ったか
8 茶道はドラッグとして輸入された
9 禅寺で中国語が使われていた深いわけ
10 日本を一挙に近代化した織田信長の蛮行
11 キリシタンは日本をキリスト教化する可能性を持っていたのか
12 人を神として祀ることは冒涜ではないのか
13 出開帳という新しいビジネス・モデルの登場
14 宗教バブルとしてのお蔭参り
15 廃仏毀釈に飲み込まれた大寺院
16 宗教的原理主義の先駆けとしての明治政府
17 天理教は天皇制に対抗したのか
18 熱病のように広がった聖霊降臨
19 徹底して弾圧された大本の真の野望は
20 宗教国家としての満州国と日蓮主義
21 天皇の人間宣言は何を意味したのか
22 踊る宗教と戦う宗教が戦後日本を変える
23 地球温暖化と戦う明治神宮
24 お一人様宗教の時代
あとがき

さあ、どこから読みましょう?

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島田裕巳の、「この〈選書〉がすごい!」

�国末憲人『サルコジ——マーケティングで政治を変えた大統領』新潮選書、2009年
これからの政治家はいかにスキャンダラスな人間でなければならないのか。

�釈徹宗『不干斎ハビアン——神も仏も棄てた宗教者』新潮選書、2009年
仏教を捨てキリスト教を捨てた、それこそスキャンダラスな宗教家の生き方が。


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