2009年9月2日水曜日

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憂楽帳:わらの知恵

 麦わらを壁に使う「わら壁ハウス」。ふとしたきっかけで存在を知った。麦わらを圧縮、一片50〜60センチの四角い塊にして積み上げ粘土で固める。約10年前に始まった試みだが地球温暖化でここ1、2年、急に注目を浴びる。

 オーストリアで定着に力を注ぐ技術者ビンマー氏は、わらの中に残された無数の空気層が断熱効果を発揮すると説明する。氷点下の冬でも暖気を室内に閉じ込める、という。安全、耐久性も認められ、オーストリア中部に50戸を建てるモデル地区構想も進む。

 壁の素材だけでない。いかに資源の効率をよくするか、省エネの発想に徹しているのだ。電気は極力使わず、調理にも、太陽熱を直接生かす熱伝導コンロを使う。接合部のねじも木製の樹脂で特別にあつらえた。金属部品を使わなければ、いずれ土に戻る。

 省エネには「自然に立ち返るのが一番」。従来建築の見直しから生まれた知恵だ。改良を重ねる究極の「エコの家」。無駄を省いてライフスタイルを変える。「これぞ明日の建築」。そう思わせる工夫がある。【中尾卓司】

毎日新聞 2009年9月2日 12時13分




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