2008年11月1日土曜日

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渡り鳥、ノンストップ飛行1万1000キロ 米研究

2008年11月1日15時2分

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写真オオソリハシシギ=ロバート・ギルさん撮影

写真拡大9羽のオオソリハシシギの南下ルート。点線は飛行中に発信器からの電波がとだえた鳥の、破線は途中で着陸した鳥の、その後の推定ルート(英王立協会紀要から)

 【ワシントン=勝田敏彦】アラスカで繁殖する渡り鳥のオオソリハシシギが、1万1千キロも休まずに太平洋を縦断する能力があることが、米地質調査所(USGS)アラスカ科学センターの研究でわかった。鳥の飛行距離としては最長になるという。英王立協会紀要に発表した。

 オオソリハシシギは全長約40センチのくちばしの長い鳥で、日本にも飛来する。チームは、06年と07年、秋にアラスカから越冬地のニュージーランドやオーストラリア東部に南下するオオソリハシシギに発信器をつけ、人工衛星を利用して追跡した。

 その結果、オス2羽は5〜6日で約7千キロを、メス7羽は6〜9日で8千〜1万1千キロを無着陸で飛んでいた。最長距離は07年8月に飛び立ったメスで、8.1日間で1万1680キロを飛んでニュージーランド北部に着いた。

 鳥はアラスカを飛び立つ前に十分にえさを食べて太り、追い風に乗って高度数千メートルを飛び続ける。ハワイなど途中の島にはえさが少ないことや、降下や 上昇による無駄なエネルギー消費を抑えることなどから、ノンストップ飛行をしているらしい。チームのロバート・ギルさんによると、この鳥が滑空することは まれで、飛行中はほとんど羽ばたいているという。

 南への渡りを終えると体重は半減するが、越冬後にアラスカに北上するときはアジア大陸寄りのルートを取り、途中で着陸しえさを食べながら戻る。栄養状態が良いほうが繁殖に有利になるためとみられる。

 距離の長い渡りの例としては、オーストラリア東部と中国の間の約6500キロを無着陸で飛ぶホウロクシギが知られている。ちなみに、ジャンボジェット機の1回の航続距離は約1万4千キロ。アラスカ、ニュージーランド間は十数時間で飛べるとみられる。



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