バチカンとイスラム指導者対話 法王発言の傷、修復図る
【ローマ=喜田尚】バチカンが各国のイスラム指導者、知識人の代表を招き、カトリックとイスラムの対話促進フォーラムが4日、始まった。イスラム教の 「聖戦(ジハード)」を批判したとされる一昨年のローマ法王ベネディクト16世の発言で傷ついた関係の修復が狙い。発言後、ヨルダン王子ら43カ国のイス ラム知識人が書簡で相互理解を訴えたのがきっかけとなった。
フォーラムではバチカンの諸宗教対話評議会議長、トーラン枢機卿と、ボスニア・ヘルツェゴビナのスンニ派イスラム法学最高権威、ムスタファ・チェ リッチ大ムフティを代表とする双方それぞれ29人が「人間の尊厳」「信教の自由」などについて意見を交わす。ヨルダン王立イスラム思想研究所を主宰するガ ジ王子も加わった。最終日の6日はベネディクト16世も代表らに会い、合同文書が採択される予定だ。
ベネディクト16世は06年9月、母国ドイツの大学での講義で「ムハンマドが新たにもたらしたのは邪悪で冷酷なものだけ」などとする14世紀のビザンチン皇帝の言葉を引用。イスラム各国に反発が広がった。
昨年10月、ガジ王子を中心に中東、東南アジア、欧州のイスラム学者、イランのシーア派指導者ら138人がベネディクト16世やプロテスタント諸 派、東方正教会などのトップに「同じ神への信仰と隣人愛を共有する両宗教の対話」を訴える公開書簡を送り、今年3月、フォーラム開催が正式決定した。イス ラム側の書簡への署名者は現在275人に拡大している。
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