2008年11月21日金曜日

asahi science biology TORAY

樹脂チューブで砂漠を緑地に 東レが新技術

2008年11月21日10時5分

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写真チューブを置いた直後=昨年4月、中国内モンゴル自治区、東レ提供

写真それからほぼ半年。植物が生え始めた=昨年9月、中国内モンゴル自治区、東レ提供

写真さらに全体的に生えてきた=今年9月、中国内モンゴル自治区、東レ提供

 中国などで進む砂漠化を食い止めようと、東レが緑地化の技術を開発し、実証試験に成功した。チューブ状の樹脂で地面を押さえて砂の移動を防ぎ、草木のタネを根付かせる手法。手軽に取り組めるのがミソで、東レも事業化を検討し始めた。

 試験場所は中国の内モンゴル自治区の中南部。樹脂で作った直径約10センチのチューブを数メートル間隔で格子状に並べ、砂が風で動かないようにして植物 が自生しやすくする。07年春に2カ所、計2万平方メートルに置くと、半年後には設置面積の10%に若芽が。今は20%以上で生えている。

 この樹脂の素材は「ポリ乳酸」。トウモロコシなどの植物から出来ており、いずれは水や二酸化炭素に分解される。メンテナンスがいらず、回収する手間もかからない。砂漠の緑地化は植林が一般的だが、より安価で、作業時間も短くて済むという。

 もともとはチューブ製造の「ミツカワ」(福井県越前市)が鳥取大と研究を始め、そこに東レが「ポリ乳酸の性能を生かせる」と加わった。産業資材事業部の佐々木康次さん(46)は「自信はあったが、3年かかると思っていただけに半年で結果が出るとは驚いた」という。

 東レはチューブを、緑化材料として特許申請中だ。今後、どんな仕組みで展開すれば採算に合うかなど、事業化調査に入る。(田幸香純)



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