2008年11月25日火曜日

asahi shohyo 書評

牧水の心を旅する [著]伊藤一彦

[掲載]2008年11月23日

  「幾山河越えさり行かば寂しさの終(は)てなむ国ぞ今日も旅ゆく」など愛唱される歌が多く、旅と酒を愛し、43歳で没した歌人若山牧水の、今年は没後80 年という。萩原朔太郎は大正の初めごろの手紙で、北原白秋と牧水を「現代歌壇の二大明星」と評したそうだが、案外、人となりは知られていないと著者はい う。宮崎県の山中に生まれ育った幼少時、上京後、恋愛に破れる青春時……「あくがれ」を抱き続けた牧水の心の奥にあったものを、多くの歌から同郷の後輩歌 人が探る。

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