2008年11月24日月曜日

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ホルモン注射でナマコ増える 放卵・放精促す効果

2008年11月22日19時7分

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写真マナマコ。左側の個体は、水中に卵を放出する直前で、頭を大きく持ち上げている=九州大学水産実験所提供

 酢の物などにして食べ、中華の高級食材にもなる「マナマコ」を効率的に増やす新技術を、水産総合研究センターと九州大、自然科学研究機構の共同研究チー ムが開発した。親ナマコにホルモンを注射するだけで、確実に放卵・放精させることが可能になった。今後、資源保護を目的とした稚ナマコの増殖や放流に、弾 みがつくと期待される。

 中国で干しナマコの需要が急拡大したことを受けて、国産ナマコの水揚げも増加。日本から輸出されるものは、ほとんどがマナマコという。水産庁によ ると、ナマコ類の漁獲量は全国で年間約1万トン(06年)にのぼり、資源を守るためには稚ナマコの放流が急務。しかし、卵や精子を親ナマコに効率よく放出 させる方法がないのが悩みの種だった。

 研究チームは今回、マナマコの神経から抽出したホルモンの一種に、メスの放卵とオスの放精を強力に促す効果があることを発見した。

 性的に成熟した重さ300グラムの親ナマコの場合、わずか100万分の2グラムを注射するだけで効果がある。注射から約1時間後にメスは放卵、オスは放精を始める。

 マナマコは海中に卵や精子を放出するとき、頭を持ち上げて、左右に「首振り」をするような動きをする。これにちなんでホルモンを「クビフリン」と命名した。

 研究成果は19日付の米国発生生物学会誌・電子版に掲載された。(山本智之)



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