2008年11月6日木曜日

asahi shohyo 書評

プラネット・グーグル [著]ランダル・ストロス

[掲載]2008年10月29日朝刊

■今後、グーグルの向かう先は?

  グーグルが誕生してから今年で10年。まだ10年しかたっていないことに驚かされた。本書は、そんなグーグルの生誕から今日までを、さまざまなシーンを交 えて描いていく。検索ビジネスとして始まりながら、いつしか全く新たな情報企業へと変貌(へんぼう)してきたグーグル。そのことを予想しえた人は、決して 多くはない。ただ、よく考えれば当然の帰結といえる。膨大なネット空間を検索することは、とてつもない量のデータを集積し、インデックスを作ることでもあ る。それを有効活用しない手はないのだから。

 本書を通して基調となるのは、ライバル企業との攻防である。検索エンジンを提供していたヤフー、フェイスブックなど興隆する SNS、画期的な発想で生まれた動画投稿サイトのユーチューブ……もちろん、その背後にはいつも巨人マイクロソフトが控えている。そして、いまや買収によ る統合が繰り返されることで、群雄割拠の時代からいくつかの巨大帝国が対峙(たいじ)する構図へと向かいつつある。

 日本でも、ここ10年ほどでネットを取り巻く環境は大きく変化した。ユーザー側は、接続方法が高速化し、安価になり、一般家庭 でも常時接続が当たり前になった。そこに携帯電話が加わり、さらに生活とネットとが密着してきている。今後は、いかにしてあふれくる情報に振り回されない かが重要になるのだろう。

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 吉田晋治訳

表紙画像

プラネット・グーグル

著者:ランダル・ストロス

出版社:日本放送出版協会   価格:¥ 2,100

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