プラネット・グーグル [著]ランダル・ストロス
[掲載]2008年10月29日朝刊
■今後、グーグルの向かう先は?
グーグルが誕生してから今年で10年。まだ10年しかたっていないことに驚かされた。本書は、そんなグーグルの生誕から今日までを、さまざまなシーンを交 えて描いていく。検索ビジネスとして始まりながら、いつしか全く新たな情報企業へと変貌(へんぼう)してきたグーグル。そのことを予想しえた人は、決して 多くはない。ただ、よく考えれば当然の帰結といえる。膨大なネット空間を検索することは、とてつもない量のデータを集積し、インデックスを作ることでもあ る。それを有効活用しない手はないのだから。
本書を通して基調となるのは、ライバル企業との攻防である。検索エンジンを提供していたヤフー、フェイスブックなど興隆する SNS、画期的な発想で生まれた動画投稿サイトのユーチューブ……もちろん、その背後にはいつも巨人マイクロソフトが控えている。そして、いまや買収によ る統合が繰り返されることで、群雄割拠の時代からいくつかの巨大帝国が対峙(たいじ)する構図へと向かいつつある。
日本でも、ここ10年ほどでネットを取り巻く環境は大きく変化した。ユーザー側は、接続方法が高速化し、安価になり、一般家庭 でも常時接続が当たり前になった。そこに携帯電話が加わり、さらに生活とネットとが密着してきている。今後は、いかにしてあふれくる情報に振り回されない かが重要になるのだろう。
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吉田晋治訳
- プラネット・グーグル
著者:ランダル・ストロス
出版社:日本放送出版協会 価格:¥ 2,100
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