2008年11月12日水曜日

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植物でシックハウス浄化 近大・京大、細菌利用し新種

2008年11月11日3時2分

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写真高濃度のホルムアルデヒドでも枯れなかった遺伝子組み換えシロイヌナズナ

写真ホルムアルデヒドで枯れたシロイヌナズナの野生種=いずれも、泉井教授提供

 シックハウス症候群の原因とされるホルムアルデヒドを吸収する植物を、泉井桂・近畿大教授(分子植物生理学)と阪井康能・京都大教授(応用微生物学)ら が開発した。ホルムアルデヒドを栄養源にする細菌の遺伝子を組み込むことで、植物に新たな性質を持たせることに成功した。今後、観葉植物に応用し、商品化 も目指したいという。

 阪井教授らは、メタノールをホルムアルデヒドに変えて、栄養源として体内に取り込むメチロトローフと呼ばれる細菌に注目。この細菌が持つ2種類の 遺伝子を、実験植物に使われるシロイヌナズナとタバコに組み込んだ。すると、二酸化炭素の代わりにホルムアルデヒドを使って光合成する植物ができた。

 このシロイヌナズナと野生種を4週間、高濃度のホルムアルデヒドが入った容器の中で栽培すると、遺伝子を組み換えたシロイヌナズナだけが枯れずに生き残った。容器内のホルムアルデヒドの濃度も野生種に比べて、10分の1程度に減っていた。

 研究チームは、この手法をポトスなど一般的な観葉植物に使えば、室内で有害物質を効率よく吸収、除去できるとして研究を進めている。

 安価なホルムアルデヒドは、建材や壁紙などの接着剤に使われ、室内で目の痛みや皮膚炎などのアレルギー症状を起こすことがある。シックハウス症候 群として問題になり、国は03年に建築基準法を改正し使用を制限した。しかし、現在でも、室内の環境によっては、ホルムアルデヒドが残留する建造物も少な くないとの調査結果も出ている。(田之畑仁)



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