初の無形文化遺産に能楽、歌舞伎 ユネスコ、90件登録
【イスタンブール=国末憲人】国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産委員会が4日、イスタンブールで開かれ、90件を無形文化遺産代表リスト に初めて登録した。日本からは能楽、人形浄瑠璃文楽、歌舞伎が登録された。伝統芸能、口承文化など形のないものを人類共通の遺産として守り伝える制度が発 足した。
90件はいずれも、無形文化遺産に先行する形でユネスコの国際選考委員会が01〜05年に選んだ「人類の口承及び無形遺産の傑作」で、06年に無 形文化遺産保護条約が発効した結果、無形遺産に吸収される形となった。中国の昆劇、グルジアの多声合唱、韓国のパンソリの詠唱などが含まれている。
イスタンブールのホテルで開かれた同委員会では90件が順番に紹介され、委員らが拍手で登録を承認した。ユネスコの松浦晃一郎事務局長は「国際社会に無形遺産の保護の重要性を喚起する仕事を最優先課題に据えてきた。この歴史的な日を迎えられて光栄だ」と話した。
松浦事務局長は、来年9月に代表リストに登録される第2陣の候補として35カ国から111件が推薦されたことを明らかにした。世界遺産登録のよう な厳しい審査はなく、ほとんどの登録が実現する見通し。日本からは「アイヌ古式舞踊」や「京都祇園祭の山鉾(やまほこ)行事」など14件が推薦されてい る。
各国の代表的な遺産を登録する代表リストとは別に、緊急の保護措置を講じる必要がある遺産を登録する「緊急リスト」への初登録も来年9月に予定されている。
歴史的な建造物や自然環境などを登録する世界遺産と異なり、無形文化遺産は人から人に伝えられる文化の保護を目的とする。
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<登録された無形文化遺産の例>
ワジャピ族の口承及び絵画による表現(ブラジル)
クメールの影絵劇スバエク・トム(カンボジア)
昆劇(中国)
牛飼いと牛車の伝統(コスタリカ)
多声合唱(グルジア)
サンスクリット語劇クーティヤッタム(インド)
シチリアの人形劇オペラ・デイ・プーピ(イタリア)
能楽(日本)
十字架制作(リトアニア)
死者にささげる先住民の祭礼(メキシコ)
馬頭琴の伝統音楽(モンゴル)
ジャマ・エル・フナ広場の文化的空間(モロッコ)
パンソリの詠唱(韓国)
ヤクートの英雄叙事詩オロンホ(ロシア)
マンダング族の成年の儀式カンクラング(セネガル、ガンビア)
大衆講談師メッダの技芸(トルコ)
樹皮布の製作(ウガンダ)
砂絵(バヌアツ)
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