メバル、魚類図鑑から消える?アカ・クロ・シロに独立
アカメバル
クロメバル
シロメバル
食用魚としておなじみの「メバル」は、「アカメバル」「クロメバル」「シロメバル」という独立した三つの種に分類できることが、京都大の中坊徹次教授 (魚類学)らの調査でわかった。日本魚類学会の英文専門誌に論文を発表した。将来、魚類図鑑から「メバル」という表記は消えることになる。
メバルは、北海道から九州の沿岸や朝鮮半島南部に多く生息する。大きなものは全長が30センチを超す。赤色系や黒色系など、体色に複数のタイプが あることは、以前から知られていた。シーボルトが日本から持ち帰った標本をもとに約160年前、欧州の研究者は2種に分けるべきだと主張。その後もメバル の分類をめぐって議論が続いていた。
中坊さんは甲斐嘉晃・京都大助教と共同でメバルの分類研究を進めてきた。アカメバルは体の色が赤っぽく、クロメバルは黒または青黒色、シロメバル は白っぽいものが多く腹びれが長い、などの特徴がある。また、胸びれを支える小骨のような「軟条」の数は「アカ」は15本、「クロ」は16本、「シロ」は 17本と異なっている。遺伝子の解析でも、それぞれが種のレベルで異なるとの結論になった。
近年編集された図鑑で、中坊さんは「メバルにはA型、B型、C型がある」と紹介しているが、これらの研究結果をふまえて別種と判断した。種ごとの食味の違いは、今後の研究課題という。
中坊さんは「3種の魚は交雑せず、群れの作り方などの生態もかなり異なる。国や自治体などが資源量を調査する際には、種ごとに区別してデータを把握することが必要だ」と話している。(山本智之)
0 件のコメント:
コメントを投稿