2008年8月1日金曜日

asahi science NHK gatten ice hot water

「湯は水より早く凍る」現象議論沸く 大槻教授は批判

2008年7月31日12時49分

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

 水よりもお湯の方が早く凍ることがある——。NHKの番組「ためしてガッテン」で紹介された不思議な現象が話題になっている。科学的には未解明で、物理 学者の大槻義彦・早稲田大名誉教授がブログで「実に馬鹿馬鹿もの」と批判している一方、雪氷学者らは「条件次第では起きる。まじめに研究しては」という。

 7月9日放送の「今年も猛暑!お宅の『氷』激ウマ大革命」。「常識逆転!お湯は水より早く凍る」として、37.2度と66.5度の水を60グラムずつ零下25度の冷凍庫に入れ、高温の方が早く凍ったという実験などを紹介した。

 番組に協力した前野紀一・北海道大名誉教授(元国際雪氷学会会長)によると、この現象は「ムペンバ効果」と呼ばれ、西洋で古くから知られていた。60年代以降、米国やカナダなど多くの研究者らが実験を試み、論文や雑誌記事が出ている。

 放送の後、ネット上で「ムペンバ効果」の検索件数が急増。ブログ読者に知らされた大槻さんは「お湯が冷えて水になるまで余分に時間がかかるのに、水より早く凍るわけがない」と批判する。

 大槻さんのもとには100件を超えるメールが届いている。大槻さんを支持する声もあるが、「自分で実験したのか」との批判も。そこで、大槻さんが冷蔵庫の製氷室で実験してみたら、お湯は早く凍らなかったという。

 しかし、前野さんは「水よりもお湯が早く凍る場合がある」との立場だ。水が冷えるときに奪われるエネルギーより、湯が蒸発する際に奪われるエネルギーの方が大きい。風や湯の中の対流などの条件によっては「ムペンバ効果」が起こり得るという。

 ただ、容器の大きさや形、熱伝導率、周囲の空気や水の温度など多くの条件が複雑にからんでおり、メカニズムの科学的な検証は難しい。雪氷学会会員の間で は「9月の日本雪氷学会で議論しよう」との声も。前野さんは「身近にも、まだ解明しきれない現象がたくさんあることを知ってほしい」と話している。(中山 由美)

      ◇

 NHK広報局の話 実験を繰り返し、高温水の方が早く凍るということを確認したうえで番組を制作しました。誤解を与えたとは考えていません。



0 件のコメント: