2008年8月29日金曜日

asahi archeology history Wakayama

矢入れる武具「胡ろく」形の埴輪初出土 和歌山

2008年8月28日18時33分

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写真矢を入れる武具「胡ろく」の形をした埴輪。中央の収納部に矢を入れたように、表面に矢羽根の線が彫られている=和歌山県庁

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 和歌山県教委は26日、和歌山市岩橋(いわせ)の特別史跡「岩橋千塚古墳群」の大日山35号墳(6世紀前半、前方後円墳)から、矢を入れる武具「胡ろく」の形をした埴輪(はにわ)が見つかったと発表した。県教委によると、胡ろくの形の埴輪出土は全国で初めて。

 胡ろくは馬に乗る際に腰に装着して使われたとされ、大陸の騎馬文化の影響を受けた可能性がある。同じ古墳からはこれまでに、一つの頭の前後に顔が二つあ る人物埴輪や翼を広げた鳥形埴輪も初めて出土している。人物埴輪のほおには、矢の羽根部分と矢尻の入れ墨らしい線が彫られていた。専門家は「大和政権とは 異なる独自の発想を持つ勢力が存在したのでは」と推測している。

 出土した埴輪は、復元後の高さは約96センチ(残存90センチ)、横幅約39センチ(同37.8センチ)。円筒形の基部が取り付けられ、中央部が 膨らみ立体的に表現されている。表面には羽根が上を向いた5本の矢が線で彫られている。これ以外にも埴輪の破片が複数見つかり、形状から胡ろくとみられる という。05年度に発見し、その後復元作業を続けていた。

 岩橋千塚古墳群は大阪府岬町から和歌山県北部の紀の川流域を拠点とする有力豪族だった紀氏(きうじ)の墓とされ、紀氏は朝鮮半島や中国との交流も盛んだったとされる。

 花園大の高橋克壽准教授(考古学)は「胡ろく形埴輪は、大陸の騎馬文化との深い関係を示している。独創的で自立性が高い。自分たちの埴輪ワールドを持っている」と話している。

 胡ろく形埴輪は30日から9月15日まで、県立紀伊風土記の丘(同市岩橋)で展示される。9月1、8日は休館。(宇津宮尚子)



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