2008年8月1日金曜日

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死者の魂、水面に葬送? 出土の「喪船」部材組み立て

2008年7月31日17時10分

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写真巣山古墳から出土した舟形木製品を組み立てて復元した「喪船」=28日午後0時30分、奈良県広陵町、高橋正徳撮影

 奈良県広陵町の巣山(すやま)古墳(4世紀末〜5世紀初め、特別史跡)から出土した、古代の葬送儀礼で使った「喪船(もふね)」の部材とみられる舟形木 製品の保存処理が終わり、同町教委が28日、立体的に組み立てて公開した。航海もできる船の一種、準構造船(全長8メートル以上)の形態だったことがわ かった。

 部材は、船のへさきの上から斜めに船底部に取り付ける波切り板(長さ2.1メートル、最大幅78センチ、厚さ25センチ)と、波切り板にはめ込む 左舷上段の舷側板(長さ3.7メートル、幅45センチ、厚さ5センチ)、右舷下段の舷側板(長さ1.8メートル、幅38センチ、厚さ5センチ)。

 準構造船は丸木舟から発達した船で弥生時代から使われていた。丸木舟の上に船形の箱を継ぎ足し、上下に2隻の船を重ねたような形。

 喪船は、中国の史書「隋書倭国(わこく)伝」(7世紀)に「遺体を船に置き、陸地で引いた」と記述がある。町教委が06年2月に同古墳周濠(しゅうごう)の北東隅から舟形木製品が出土したと発表した。

 河上邦彦・神戸山手大教授(考古学)は「船幅は約80センチしかないため実用船ならこぎ手を確保できず、喪船専用ではないか。船内を様々なもので飾り立て、死者をにぎやかに送ったのかもしれない」と話す。

 舟形木製品は8月1日から9月1日まで、広陵町文化財保存センターで特別陳列される。(沖真治)



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