2008年8月3日日曜日

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「秘仏」盗難…実物見た人少なく確認手間取る 静岡

2008年8月2日10時8分

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写真盗まれた法蔵寺の千手観音像

写真「替え玉」として厨子に残されていた仏像

 静岡県島田市尾川の法蔵寺観音堂に安置されていた市指定文化財の千手観音像が盗まれていたことがわかった。この仏像は、60年に1度開帳されることに なっている秘仏。檀家(だんか)でも実際に目にしたことがある人は少なく、盗まれていることを確認するにも手間がかかった。

 最初に異変が確認されたのは7月26日。月に1度、観音堂の掃除をする女性が入り口の錠が壊されているのを見つけた。しかし、秘仏がおさめられた厨子(ずし)を含め、堂内に荒らされた様子がなかったことから、警察には届けなかった。

 翌27日、夏草刈りに集まった集落の人々の間で、やはり厨子の中が気になるということになった。しかし、なにしろ厨子の扉を開けることもはばかられる秘仏。28日に寺の役員が集まるのを待つことになった。

 同日朝、檀家総代らが集まって厨子の扉を開けると、紅色の帳(とばり)の中には一応、金色の仏像があった。秘仏である本尊の公開は、92年の島田 市博物館の開館記念展示が最後で、檀家でも像自体を見たことがある人は少ない。本物かどうか意見が分かれたが、一人が「ご本尊は千手観音と聞いていたが、 これには手がない」と指摘。同寺の住職を兼ねている天徳寺の石橋晋哉住職の確認で、盗まれていることがやっとわかり、島田署に届け出た。

 盗まれた本尊の観音像は高さ101センチ、カヤの寄せ木造りで、室町時代後期の作。額を広くとった顔立ちに特徴がある。盗まれたのは7月7日の念仏講の後から同月26日までの間と見られる。

 法蔵寺は約15年ほど前から無住。檀家総代の鈴木岩治さんは「観音さまを久しく開帳していないので、近々ご開帳しようと話していた矢先のこと」と 残念がる。まだ観音堂の錠は直しておらず、「盗んだ人がそっと返してはくれないだろうか」と、盗んだ人物の「改心」に期待している。(根岸敦生)



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