2008年8月23日土曜日

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イスラム教への改宗者増加 フィリピン、中東出稼ぎ機に

2008年8月23日8時44分

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 カトリック教徒が大半のフィリピンで、イスラム教への改宗者が増えている。中東への出稼ぎを機に「異教」と出会う人が多いが、国内での根強い差別などで過激主義に走る信者もいる。

 マニラ首都圏郊外のカビテ州。金曜正午、礼拝を告げる声が響くとモスク(イスラム礼拝所)に人々が集まった。

 アミナさん(53)は3年前にイスラム教に改宗した。熱心なカトリック信者だったが、家族関係で悩んでいたころ、インターネットでイスラム教徒と知り合い、教義にひかれた。額を床につけて祈る作法も、すべてを神に委ねているようで心地よかった。

 アミナさんが住む「イスラム・コール・アンド・ガイダンスセンター」は91年創設。1.6ヘクタールの敷地に約90世帯が暮らす。住民の6割以上が改宗者。アルマレス事務局長は「キリスト社会で奇異の目で見られる改宗者の信仰と生活を守る場所」という。

 フィリピンでイスラム教改宗者は「バリク(戻る)・イスラム」と呼ばれる。正確な人数は不明だが、首都圏最大のモスクでは毎年約1千人が改宗。「中東へ の出稼ぎをきっかけに改宗する人が増えている」とアルマレス氏。中東への出稼ぎ者は年間約40万人で、原油高騰に伴うアラブ諸国の好況で増加傾向だ。

 異国での孤独感から改宗する人がいる半面、「イスラム教徒の方が職探しや雇用条件で有利」という人も。とはいえ国民の8割がカトリック信者の同国 は改宗者に居心地のいい場所ではない。「テロリストだとささやかれた」とセンターのイスラム教導師イブラヒム・マタさん(59)。

 偏見や抑圧への反発もあるのか、原理主義に傾倒する改宗者も現れた。01年に発足したとされるイスラム改宗者の過激組織「ラジャ・ソライマン運動 (RSM)」。04年に100人以上が死亡したマニラ湾のフェリー爆破や、05年2月にマニラなどで同時発生した爆弾テロで、比南部のイスラム過激派ア ブ・サヤフと共謀したとして注目された。

が、改宗者は伝統的イスラム社会からも厳しい視線を浴びる。南部のイスラム武装勢力の幹部は「彼らを完全に信じることはできない」。改宗動機が就職や昇給 など「不純だから」という。国家警察のテロ対策担当者は「改宗者はイスラム社会とキリスト社会から二重の差別を受ける。真のイスラム教徒であることを示そ うと、過激思想に傾く人がいる」と指摘する。(マニラ=木村文)



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