2009年2月11日水曜日

asahi shohyo 書評

世界の奇妙な博物館 [著]ミッシェル・ロヴリック

[掲載]週刊朝日2009年2月13日号

  • [評者]温水ゆかり

■ゴキブリ偏愛男がいようとは

 原題は〈カウガール、ゴキブリ、セレブな下着〉。オタクな博物館を紹介するコンパクトなガイド。日本からは目黒寄生虫館と伏見稲荷大社が当選している。

 さて、カウガールはいい、トム・ハンクスの下半身を包んだボクサーショーツもちょっと見てみたい。が、ゴキブリ偏愛男がいよう とは。彼は防腐処理したゴキブリを使うゴキアートの創始者であるばかりか、コンテストも主催。入選作には「マリリン・モンローチ」や、ふだんより多い脚を 広げた「エルヴィス・ローチリー」などがあるとか。他にサイズを競うコンテストもあって、ビッグなやつはネズミサイズ。この大きさ、無理だわ、スリッパ征 伐じゃ。

 他に実体験できる国際スパイ博物館や、泊まれるリジー・ボーデン博物館など、人間はいかに奇妙な情熱に取りつかれるかの見本市みたいな計80カ所。その他を紹介する巻末リストまで嘗めるように読んでしまった。

 ところで博物館巡りのあと買い物欲が亢進するのはよく知られた症状。ギフトショップも楽しみの1つだが、その意味ではアイスランドの男根学博物館は超レアもの揃い。買う勇気があるかどうかはまた別ですが——。

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 安原和見訳

表紙画像

世界の奇妙な博物館 (ちくま学芸文庫)

著者:ミッシェル ロヴリック

出版社:筑摩書房   価格:¥ 1,260

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