2009年2月15日日曜日

asahi shohyo 書評

第14回中原中也賞に芥川賞作家の川上未映子さん

2009年2月14日

写真川上未映子さん

  優れた現代詩集に贈られる第14回中原中也賞(山口市主催)の選考会が14日、中也(1907〜37)の出身地の山口市内であり、「乳と卵」で昨年の芥川 賞を取った作家で歌手の川上未映子さん(32)=東京都在住=が受賞した。受賞作は、詩集「先端で、さすわ さされるわ そらええわ」。川上さんには中原 中也ブロンズ像と副賞100万円が贈られる。

 選考会は、中也の結婚披露宴の会場となった同市の旅館「西村屋」で開かれ、梅光学院大特任教授の北川透さん、作家の高橋源一郎さんら6人が最終候補に残った川上さんの作品を含む7詩集を選考した。

 受賞作は7編から成り、女性が使う大阪弁の口語体を多用することで「女性の性的な身体や、その部位のもつ痛みや快楽の感覚が多 くの連想を交えて展開されている」と高く評価された。また、作風の自由さから「詩の枠組み、形式を超えた日本語という基盤で新しいスタイルを生み出した」 「現代詩にとってひとつの事件」と支持を集めた。

 主催者によると、受賞作は川上さんの初の詩集。川上さんは「特別な意味を持つ中也を記念する賞に対しては、他のどの賞とも違う気持ちがありました。これからもあらゆる批評やもくろみや分析が追いつかないような詩作に精進したい」とのコメントを寄せた。

 同賞は07年12月〜08年11月に刊行された現代詩の詩集が対象。国内外から184詩集の応募・推薦があった。贈呈式は4月29日、山口市である。

表紙画像

乳と卵

著者:川上 未映子

出版社:文藝春秋   価格:¥ 1,200

0 件のコメント: