2009年2月21日土曜日

asahi okuyami おくやみ kabuki

歌舞伎俳優最高齢・人間国宝の中村又五郎さん死去

2009年2月21日13時47分

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写真中村又五郎さん

写真「逆櫓」の権四郎を演じる中村又五郎さん(右端)(98年、国立劇場「花形歌舞伎公演」から)

 現役最高齢の歌舞伎俳優で、歌舞伎界の生き字引的存在だった、人間国宝の中村又五郎(なかむら・またごろう、本名中村幸雄=なかむら・ゆきお)さんが 21日午前4時10分、老衰のため死去した。94歳だった。通夜は26日午後6時、葬儀は27日午前11時30分から東京都港区芝公園4の7の35の増上 寺で。喪主は長男中村甚之介さん。

 初代中村又五郎の長男。21年、早世した父の名を継ぎ6歳で二代目又五郎を名乗り初舞台。都内の劇場を人力車で掛け持ち出演する名子役だった。初代中村吉右衛門に師事し、六代目尾上菊五郎にも可愛がられ、昭和初期を代表する両名優の芸を学んだ。

 立ち役としては小柄だったが、古典の品格と深い情感を備えた正統派の演技で、女形や老け役も数多く演じた。

 青年時代の当たり役に「義経千本桜」の小金吾、近年では「逆櫓」の権四郎、「髪結新三」の家主、「盛綱陣屋」の微妙など。国立劇場の歌舞伎俳優研修の講師も務め、多くの人材を歌舞伎界に送り出した。

 国際交流にも熱心で、フランスやハワイで歌舞伎の実技指導を行ったほか、94年に能・文楽・歌舞伎の演者がそれぞれ「俊寛」を上演する企画の欧州 公演に参加し、俊寛を演じた。舞台活動と人材育成の功績の両面が評価され、97年に歌舞伎脇役として2人目の人間国宝に選ばれた。

 近年は舞台出演が減っていたが、04年に東京・歌舞伎座で上演された中村勘三郎主演の「今昔桃太郎」で、約半世紀前の勘三郎の初舞台でもつとめた 犬の役を再び演じた。最後の舞台は06年4月の「六世中村歌右衛門五年祭追善口上」。09年1月の歌舞伎座さよなら公演古式顔寄せ手打ち式にも姿を見せ た。

 芸談や歩みをまとめた本に郡司道子著「聞き書き 中村又五郎歌舞伎ばなし」、作家の池波正太郎の「又五郎の春秋」などがある。



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