2009年2月16日月曜日

asahi art critic film Academy Award special

〈アカデミー賞特集〉ダニー・ボイル監督

2009年2月16日

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写真ダニー・ボイル監督(C)2008 Celador Films and Channel 4 Television Corporation

 虚構の極致にひかれてやまず、自作のタイトル通り「普通じゃない」(97年)人生を映し続けていることは、監督自身も認めている。だから、役者は無名、 予算は少なく、撮影はインドという挑戦を引き受けたのだろう。結果、アカデミー賞の最有力候補に。そのこと自体、監督が好む掟破りの出来事だった。

 「スラムドッグ$ミリオネア」の映画化の話を持ちかけれた際、「まったく心が引かれず、クイズ番組の映画なんか作りたくないと思った」。監督は、 映画公開に際して、メッセージを寄せた。監督の心を引きつけたのは、「フルモンティ」の脚本家サイモン・ビューフォイ。その「建築家のように設計図を描 き、始まり、中盤、終わりを作ってシーンを積み上げる。やがて、向かう先がはっきり見えてくる」。

 「28日後…」で世界の終末を描き、「サンシャイン2057」では、核爆弾で太陽の活動をよみがえらせようとする宇宙船員を映した。出世作「トレ インスポッティング」は、ドラッグにおぼれる若者たちの内面世界に踏み込んだ。そうした奇想の持ち主にとって、ムンバイはSFに劣らぬ未知なる世界だった ようだ。「死も暴力も存在するムンバイの街の圧倒的な生命力に対し、精神的な大変革を体験した」とも。

 監督は、この映画を通して、世界の中で、誰しも特別な存在であること、人生にはたくさんの興奮と冒険の運命が待ち受けていることを描きたかったのだという。(アサヒ・コム編集部)

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