2009年2月20日金曜日

asahi culture UN UNESCO Japanese dialect speaker

世界2500言語消滅危機、ユネスコ「日本は8語対象」(1/2ページ)

2009年2月20日14時19分

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 【パリ=国末憲人】世界で約2500の言語が消滅の危機にさらされているとの調査結果を、国連教育科学文化機関(ユネスコ、本部パリ)が19日発表した。日本では、アイヌ語が最も危険な状態にある言語と分類されたほか、八丈島や南西諸島の各方言も独立の言語と見なされ、計8言語がリストに加えられた。

 調査は、全世界で6千前後あるといわれる言語を調査。538言語が最も危険な「極めて深刻」に分類された。続いて「重大な危険」が502語、「危険」が632語、「脆弱(ぜいじゃく)」が607語だった。

 また、1950年以降消滅した言語が219語にのぼった。最近では08年、米アラスカ州でイヤック語が、最後の話者の死亡で途絶えた。

 日本では、アイヌ語について話し手が15人とされ、「極めて深刻」と評価された。財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構(札幌市)は「アイヌ語を日常的に使う人はほとんどいない」としている。

 このほか沖縄県の八重山語、与那国語が「重大な危険」に、沖縄語、国頭(くにがみ)語、宮古語、鹿児島県・奄美諸島の奄美語、東京都・八丈島などの八丈語が「危険」と分類された。ユネスコの担当者は「これらの言語が日本で方言として扱われているのは認識しているが、国際的な基準だと独立の言語と扱うのが妥当と考えた」と話した。

 ユネスコは96年と01年にも危機にさらされている言語調査を実施。今回は30人以上の言語学者を動員して全世界を包括的にカバーする例のない規模の調査となった。目的について、ユネスコは「言語は常に変化する。その変化の実態を知るため」と説明。今後継続的に調査を続けるという。

 ユネスコのフランソワーズ・リビエール事務局長補は「言語消滅の原因には、次世代に伝える意思を失うという心理的要素が大きい。自信を持って少数言語を話せるよう条件づくりに努めたい」と話している。

    ◇

 崎山理・国立民族学博物館名誉教授(言語学)の話
方言と言語の区別は明確ではなく、政治的に決まってくる部分もある。私は話し手が固有の文化を持っていれば、独立した言語とするべきだと思う。琉球諸島では、かつてはそれぞれの島の言葉は大きく異なっていたが、交通が盛んになるにつれて元の形が失われている。単一民族神話も手伝って、日本で話されている言語は一つだけと思われがちだが、実は多様性があることを知ってほしい。

     ◇

 西岡敏・沖縄国際大准教授(琉球方言学)の話
沖縄のほとんどの言語は危機にひんしている。言語を文化遺産として認識し、保全していくことは重要だ。ただ、沖縄では村ごとに言葉が違うと言われる。今回のような大きな枠組みでくくることが正しいのか、そこで漏れたもっと少数派の方言をどうするか、など考えなければならない点もあるだろう。

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