イスラム指導者が禁煙令 たばこ大国インドネシアで波紋
【ジャカルタ=矢野英基】インドネシアのイスラム指導者たちが、公共の場での喫煙をハラーム(禁忌)とするファトワ(宗教見解)を出したことが波紋を広げている。2億人を超える国民の3人に1人が喫煙する世界有数のたばこ大国で、産地などから反発が強まっている。
国内のイスラム教の指導者で構成する「イスラム指導者評議会」は先月末、公共の場での喫煙や未成年・妊婦の喫煙をハラームと認定し、喫煙の行為そのもの も「ハラームとマクルーフ(忌むべき行為)の中間」と位置づけた。法的規制はないが、人口の約9割を占めるイスラム教徒への心理的影響は大きい。
NGO「たばこ規制同盟」によると、インドネシア国民の喫煙率は34%(04年)で、未成年から喫煙を始める人が多い。政府は、たばこの健康被害 を防ぐための世界保健機関(WHO)の「たばこ規制枠組み条約」に東南アジアで唯一、加盟しておらず、分煙や広告規制は進んでいない。
国内のNGOなどからは、今回の認定について「限定的な言及だが、道徳の向上につながる」と評価の声が上がるが、ジャワ島各地のたばこ産地では反発が高まる。
地元報道によると、東ジャワ州のイスラム教住民組織の幹部は「国民の喫煙は、産地に仕事をもたらしている。評議会はファトワの意味を誇張しており拒否する」と発言。中部ジャワ州トゥマングン県では16日、数千人のたばこ農家たちが禁煙に反対してデモ行進した。
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