新井満さん流、想像力の翻訳 10点100万部超「自由訳」
2009年2月14日
「千の風になって」の訳詩・作曲で、CDのミリオンセラーの風を吹かせた作家・新井満さんが、著書「自由訳」シリーズでも累計100万部を突破した。
「自由訳」とは、「意訳」や「超訳」とも異なる新井さん流の翻訳。原作者のコンセプトは厳守し、あとは自由に想像力を働かせ、わかりやすい日本語にする。本では写真をたっぷり使い、価格が千円程度で薄いのも共通する。
「千の風〜」が最初で、2003年11月に同題の写真詩集(講談社)を出して以来、CDブックなど3冊で八十数万部になる。講談社からはほかにサムエル・ウルマン『青春とは』、橘曙覧(たちばなのあけみ)・独楽吟(どくらくぎん)の世界『楽しみは』がある。
朝日新聞出版から『イマジン』『般若心経』『老子』『子どもにおくる般若心経』の4冊で約17万部。さらに『良寛さんの愛語』(考古堂)、『十牛図』(四季社)、『良寛』(世界文化社)があり、「千の風〜」を1点とすると2月初めに10点になった。
「超有名で超難解なテキスト」を自由訳したくなるという。「参考文献をどっと集めて勉強しても、あまり明快でない。何を伝えようとしたのか、懸命に考えるうち、ふとわかる瞬間が来る」そうだ。
たとえば、般若心経の「色即是空」の自由訳は「この世に存在する形あるものとは、(略)あの大空に浮かんだ雲のようなものなの だ。(略)雲がいつまでも同じ形のまま浮かんでいるなどということがありえないように、この世に存在する形あるものすべてに、永遠不変などということはあ りえないのだ(略)」というように、長くなる。しかし、ほかの情報は、写真以外付け加えない。
新井さんは「10点に共通するのは、自由と幸福のためには、まずこだわりを捨てよということ。人生いかに生きるかの実用書として読まれているとしたら、うれしい」と語る。「千の風」は出版界にも吹き続けているようだ。(大上朝美)
- 子どもにおくる般若心経
著者:新井 満
出版社:朝日新聞出版 価格:¥ 1,050
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