2009年2月24日火曜日

asahi art film movie Academy Award

アカデミー賞「スラムドッグ」が8冠に

2009年2月23日19時41分

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写真オスカー像を抱える「スラムドッグ$ミリオネア」のダニー・ボイル監督(上)と、ヒロインの幼少期を演じたルビアナ・アリ=AP

 「おくりびと」と「つみきのいえ」のダブル受賞に沸いた23日の第81回米アカデミー賞授賞式。主要部門ではインドのストリートチルドレンを描いた「ス ラムドッグ$ミリオネア」(ダニー・ボイル監督)が作品賞、監督賞など8冠を獲得した。生きる希望を伝えるアジア発のエンターテインメントが、経済危機の ハリウッドに新しい風を吹き込む展開となった。

 「スラムドッグ〜」はムンバイのスラム育ちの少年が、路上で学んだ知恵でクイズ番組を勝ち上がり、自らの人生も切り開いていく。製作、監督、脚本 は英国人だが、出演はインド人、全編の3分の1はヒンディー語。米国人にはなじみの薄い要素が並んだが、最多13部門でノミネートされた大作「ベンジャミ ン・バトン 数奇な人生」(デビッド・フィンチャー監督)を大きく引き離す圧勝だった。

 "ボリウッド"と呼ばれる映画大国インドの伝統と、先端の映像・音響を絡めたボイル監督のセンスも光った。躍動感ある音楽を全編に響かせた、イン ドきっての人気作曲家A・R・ラフマーンは作曲賞、歌曲賞をダブル受賞。録音賞ではインド人スタッフが代表でスピーチし、「賞を祖国インドに贈りたい。こ れはただの録音賞ではなく、歴史を受け継いだのだと思う」。ボリウッドとハリウッドを欧州経由で結ぶ受賞だった。

 演技部門は追善授賞となった助演男優賞のヒース・レジャー(ダークナイト)以外は、誰がとってもおかしくない顔ぶれだった。女優賞は欧州勢の手 に。主演賞は英国のケイト・ウィンスレット(愛を読むひと)。無知ゆえに重い罪を背負った女の半生を全身で演じた。助演賞はスペインのペネロペ・クルス (それでも恋するバルセロナ)。「45秒でスピーチするなんて無理」と宣言し、英語とスペイン語で喜びを語った。

 主演男優賞は、少数者の権利を訴えたゲイの社会活動家ハーベイ・ミルクを演じたショーン・ペン(ミルク)。受賞スピーチでは、「レスラー」で同賞候補に挙がったミッキー・ロークの不屈の復活劇をたたえ、客席のロークは投げキスで応じた。(深津純子)



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