2009年2月25日水曜日

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「我々は再生する」 オバマ大統領、施政方針演説

2009年2月25日11時33分

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写真米ワシントンで24日、施政方針演説のため連邦議会議事堂に入るオバマ大統領=AP

写真ワシントンの連邦議会で24日、施政方針演説をするオバマ大統領=AP

 【ワシントン=小村田義之、西崎香】オバマ米大統領は24日夜(日本時間25日午前)、上下両院の合同会議で施政方針演説を行った。米国の抱える深刻な 経済危機に対し、短期的な対応策をとるだけでなく、エネルギー、医療、教育の3分野への投資を進めて長期的な繁栄の基盤を築き、米国の再生を誓う内容と なった。

 大統領は演説の冒頭から米経済の苦境に言及。「我々の経済は弱体化し、自信は揺らぎ、困難で不確実な時代を生きている。しかし今夜、すべての米国人に分かってほしい。我々は再建する。我々は再生する。そして以前より強力な米国が現れるだろう」と決意を語った。

 また、「長期的な繁栄よりも短期的な利害が優先された」「手っ取り早い利益追求のために規制は骨抜きにされた」と述べ、ブッシュ前政権までの経済 政策からの転換を目指すことを強調。政権発足後の景気対策と金融危機対応での取り組みをアピールした。さらに「経済を回復させるだけではなく、持続する繁 栄の新たな基盤を築かなければいけない」と、長期的に経済を成長させるエネルギー、医療、教育への投資の必要性を指摘した。

 これらの3分野は「我々の将来にとって決定的に重要である」として、原油への依存を減らすことや、高コストの医療費の削減を進める方針を掲げた。 「すべての米国人が、良質で手が届く医療制度を持たなければならない」「改革は1年も待っていられない」と述べ、早期に医療制度改革に着手する姿勢を示し た。

 地球温暖化対策は、温室効果ガスの排出を抑える排出量取引制度の導入を盛り込んだ法律を可決させるよう議会に求めた。風力や太陽光など再生可能エネルギーの供給量を今後3年間で倍増するとして「米国が再び主導する時が来た」と呼びかけた。

一連の対策を実施する一方で、財政改革の重要性も指摘。最初の4年間の任期で1兆ドル規模の財政赤字を半減させる方針を示し、その方策として無駄な 歳出を徹底的に削減する計画を示した。イラク関連の政府調達を削減、軍事費などを見直すとしている。これにより今後10年間で約2兆ドルの節約が可能であ るとの考えを新たに表明した。

 一方、米国の今後の外交政策については、「新たな関与の時代」が始まったことを言葉と行動で世界に示していると強調。イランや北朝鮮などを念頭に 「交渉のテーブルから逃げることは出来ないが、我々に危害を与える敵を無視することも出来ない」と硬軟両様の構えを示した。焦点のイラク、アフガニスタン 政策については「イラクの戦いを責任ある方法で終える道を近く発表する」としたが、具体論は示さなかった。

     ◇

■オバマ大統領、演説骨子

 ▽我々は再生し、米国はより強力になる

 ▽雇用創出を活発にし、融資を再開させ、エネルギー、医療、教育に投資を

 ▽4年間で1兆ドル規模の財政赤字を半減。10年間で2兆ドルの節約が可能

 ▽風力、太陽光発電などの技術開発に年間150億ドルを投資

 ▽アフガニスタン問題で包括的戦略を策定

 ▽グアンタナモ収容所を閉鎖し、拘束したテロリストに対する迅速で確実な裁きの道を探る。米国は拷問しない

 ▽既存の同盟関係を強化、新たな協力関係を結ぶ

 ▽G20(金融サミット)諸国と金融システムへの信頼回復で協力、保護主義が台頭する可能性をなくす

     ◇

 米大統領の施政方針演説 オバマ政権は今回の演説を大統領が年初に行う恒例の「一般教書演説」とせず、「議会に対する演説」としている。大統領就任から約1カ月で、「連邦の現状」について把握し議会に報告するという憲法上の一般教書の定義にそぐわないとの判断からだ。

 かつては、米大統領は就任した年は議会演説を行わないことが慣例だったが、70年代以降、1年目の早い段階で施政方針を示す演説が定着した。大半 のケースは今回と同様「一般教書演説」とはされず、便宜上「施政方針演説」と呼ばれている。内容も93年のクリントン氏が経済政策に絞ったように、米国が 直面する課題について政策的な方針を語るという位置づけから、内政中心になることが多い。



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