2009年2月19日木曜日

asahi shohyo 書評

抜擢される人の人脈力 [著]岡島悦子

[掲載]2009年2月15日

  • [評者]梶山寿子(ジャーナリスト)

■戦略的に自分を売り込め

 サブタイトルは「早回しで成長する人のセオリー」。昨今話題の「人脈力」を軸に、"人脈のプロ"であるヘッドハンターが、若手向けにキャリア構築のノウハウを説く。

 所属組織名ではなく、個人の資質や実績がモノを言う時代。自分の市場価値を高めるには、若くして抜擢(ばってき)されるチャン スをつかみ、実績を作ることが必要だ。抜擢によって自分の能力を発揮する機会を獲得し、それを足がかりにさらなる活躍の場を引き寄せる。ここで重要となる のが戦略的な人脈構築力である。運を天に任せて抜擢されるのを待つのではなく、候補者選定の段階で自分が想起されるよう種蒔(ま)きをする。「これからの 時代、人脈構築の努力をしていない人は、淘汰(とうた)される」のだ。

 とはいえ、異業種交流会で名刺をばらまいてもあまり効果はない。本書が勧めるのは、自身の体験を基に体系化した「人脈スパイラ ル・モデル」にのっとり、自分を売り込むこと。(1)自分にタグをつける(訴求ポイントを明確にする)(2)コンテンツ(実績)を作る(3)仲間を広げ る、といった方法論は「セルフ・ブランディング」の手法と重なる。こうして実績を積み上げ、人脈をレベルアップ。最終的には「自由な働き方を手に入れよ」 と鼓舞する。元外資系コンサルタントらしい論理的で実践的な内容。自薦ではなく他薦が重要、目の前の仕事に打ち込んでいない人にチャンスは来ない、などの 指摘も光る。

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