「やればやるほど英語嫌い」 小学校英語活動に異論続々
「先行実施した小学校ではどんどん英語嫌いが増えている」「面白いものをやろうとすれば1時間の授業に準備が4日かかる」。学習指導要領の改訂に伴い、 今春から多くの小学校で始まる高学年の英語活動をめぐり、広島市で開催中の日教組の教育研究全国集会(教研集会)で、そんな報告が学校現場から出た。
案が出た当初から「そこまで必要?」と異論が根強い「小学生の英語」。必要な人員も配置されない現状では、実のある内容にするのは無理だ——。参加した教員からは、そんな声が相次いだ。
22日にあった外国語教育の分科会。神奈川県南足柄市立南足柄小の中村有佐(ゆうすけ)教諭はロープを取り出し、5年生向けの授業を再現した。片 方を参加者に持ってもらって延ばし「何メートルあると思いますか?」と英語で質問。走り幅跳びの世界記録であることを説明すると、会場から「なるほ ど……」と声が漏れた。
北京五輪に引っかけて「奥林匹克(オリンピック)」「排球(バレーボール)」といった中国語のカードを示し、「何だと思う?」と英語で質問も。中 村さんは「単純に会話を繰り返させる『リピート・アフター・ミー』では、小学校高学年は興味が持てずついてこない」という。ただし、準備には相当な手間が かかり「担任を持っている教員がやるのは無理です」と語った。
東京都の中学教諭は、新入生に英語への意気込みを尋ねた結果を報告。勤務する区の小学校は数年前から英語の授業を実施しているが、「英語は好き じゃない」という子が年を追って増えているという。小学校で内容が理解できないまま終わっているケースが少なくないといい「そんな意識を中学の3年間で一 掃する英語教育を目指している」と話した。
意見交換でも、「報告があった取り組みは成功例。全国で同様にできるとは思えない」「予算が少ない中では、(充実した授業ができるかは)教員の『善意頼り』だ」と否定的な意見が続いた。
小学校の英語活動は、11年春から5、6年生で必修となる。今春から前倒しすることも可能とされ、実際に多くの小学校が始める予定だ。(片山健志)
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