2009年2月16日月曜日

asahi art critic film Academy Award special

〈アカデミー賞特集〉「レヴァンシェ」

2009年2月16日

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写真「レヴァンシェ」(C)Lukas Beck

 ウィーン周辺を舞台にした贖罪と復讐の映画だ。

 ウィーンの歓楽街で働く売春婦タマラが、組織のボスの使い走りのアレックスと禁じられた恋に走る。すさんだ暮らしと決別したい。その逃走資金を得るた め、銀行強盗を企てる。が、警察官ロベルトが通りかかって発砲、車内にいたタマラは射殺される。ロベルトへの憎悪を胸に、悲嘆のアレックスは森に囲まれた 祖父の家に引き込むが、心の整理をつけたいロベルトが、すぐに近くに滞在することに。アレックスはロベルトの行動を日々、追跡する。そして、ロベルトの妻 と出くわしてしまう…。

 昨年のベルリン映画祭パノラマ部門で上映されたほか、製作者側によると、すでに欧米を中心とする36の映画祭に参加し、売春婦役イリーナ・ポタペ ンコの女優賞を含め、14の賞を受賞したという。国際芸術映画評論連盟賞(CICAE)の審査員は「よりよい暮らし求める闘いと、その夢や倫理の喪失を、 寡黙ながら普遍的に映し、シンプルな犯罪ドラマを、それぞれの人物の目から多角的に描いた」と評し、別の賞は、閉所恐怖症的な現代人の心性を映している、 とも。

 監督のゴッツ・シュピールマンは61年生まれで、ウィーン育ち。ウィーンの映画学校を卒業後、映画やテレビ用に作品を撮影。99年の「ザ・ストレンジャー」、04年の「アンタレス」も米アカデミー賞外国語映画賞のオーストリア代表になったという。(アサヒ・コム編集部)

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